水道技術経営情報
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高度浄水処理 Activated Water Treatment

 流域の開発などによる水源水質の悪化に伴い,一般に用いられる急速ろ過法では十分に対応できない,臭気や色度,陰イオン界面活性剤などの有機物,アンモニア性窒素などに対応するため,従来法に加えて行われるようになった処理のことです。

【参考】


高度処理の概要 Outline

1)定義

 臭気,THM及びTHM前駆物質,色度,アンモニア性窒素,陰イオン界面活性剤,トリクロロエチレンなど,通常の固液分離プロセスで効果的に除去できない物質を対象とする処理を総括して高度処理と呼びます。行政用語ですが,下水などでも高度処理という単語を使用するため,定義の見直しは必要かもしれません。

 また,脱塩を目的とした逆浸透膜処理なども高度処理とは呼ばないように思います。

2)目的

 異臭味被害の解消,発ガン性物質の低減など,安全でおいしい水の供給を目的とします。この背景には,原水の悪化に伴う水道水質の劣化や,これに対する従来型の浄水システムの限界,市民のニーズなどがあるといわれています。(市民の2/3が飲料水の質的向上を求めるとの調査結果もあります)

 ただ,一部には,生活用水にまで処理が必要か,浄水器を使えば十分ではないかとの反論もあります。

3)高度処理の導入に向けての手順

 高度処理システムは,原則として従来の固液分離プロセスに付加されるため,施設の導入に要する費用はそのまま上乗せされることになります。そもそも高度処理の必要がないような原水が潤沢にあるのなら,こちらを活用するのが王道です。

 高度処理の導入に関する検討の手順は以下のようになります。

  1. 水源調査(現状,将来の水質予測)
  2. 導入以外の対処(水質保全,代替水源)
  3. 高度浄水の検討(処理フロー,費用,実験)
  4. 浄水方法の変更の手続き(認可新制,補助申請)
  5. 維持管理技術の向上

 高度浄水の導入には国庫補助の制度を利用することができますが,原水の性状によって有効なフローが異なるため,あらかじめ実証実験を行うなどして十分な検証をすることが望ましいといえます。

4)単位プロセスの適用水質

 どのような原水水質に対してどの処理を導入すればいいのか。これがずばりもっとも知りたい点だと思います。従来は各単位プロセスの組み合わせについて様々なパターンが試験され,またその結果についても実験などで予測するのが普通でした。

 しかし,平成12年,水道技術研究センターより浄水技術ガイドラインが発刊され,かなり単位プロセスの組み合わせについてこれまでの知見をとりまとめたうえで,オーソライズする作業が行われました。

 以下に,このうち高度処理に関する部分について引用します。モト本ではもっと詳しく掲載されていますし,おのおのの解説も載ってますので是非購入しましょう。

粉末活性炭 生物処理 オゾン+GAC UF膜処理 NF膜処理
色度
鉄・マンガン
異臭味
アンモニア性窒素
トリハロメタン前駆物質
農薬

 表中,○はよく除去できる,□は限定的ながら除去効果がある,空欄は除去効果が見込めない,を意味します。また,GACは粒状活性炭を意味しますが,特に全段で消毒を行わず生物処理効果を見込む場合(BAC)はさらに処理性がよくなります。

5)高度処理法の個別プロセス

 高度処理法の単位プロセスについては個別に以下にまとめました。

【備考】



目次

高度処理のが愛用
 活性炭のより微量有機物等を吸着する方法。


備考・出典

 個別処理法について分離しました。

 高度処理に関する情報は,浄水技術ガイドラインに詳しいです。また,水道水質ハンドブックなどでもその概要を取り上げています。これらの書籍は是非参考にしてください。


更新履歴

  • 120815 新様式で作成。


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