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鉛管問題を扱うための場所を「鉛」のページより分離しました。
【参考】 鉛給水管1)鉛給水管が使用された背景鉛は地上に豊富に存在し,精製や加工が容易であったため。人類が昔から利用していた金属のうち代表的なものの一つです。そして,近代水道よりも前,たとえばローマの水道でも鉛給水管は広く使用されていました。
大英帝国博物館に陳列してあったのを,視察団参加者が見つけて写真をとってきてくださったそうで,写真をいただきました。右下の短いやつ(陶管の手前にあるやつ)がそうらしいです。 近代水道の黎明期に至っても,給水管用の管材としては,施工性やコストの問題から,「鉛管しかない」と言っていい状態だったそうです。このため,特に初期に水道が整備された事業体を中心に,鉛管が多く使用されました。 しかし,鉛の毒性に関する知見が広がるにつれ,人類の生活圏から鉛の使用をなくそう,という考え方が広がってきました。特に問題の大きい白系塗料,分離が難しい電池などについては既に鉛レス化がほぼ完成しています。そして,水道界における鉛給水管についても,問題視される傾向が高まってきました。 2)鉛給水管対策の状況日本水道協会の鉛問題対策特別調査会により,鉛給水管問題の今後の対応について基本方針が発表されました。日本水道新聞011025に抜粋版が掲載されましたので,これを参考にまとめます。ここで示された基本方針は3点です。
また,鉛給水管対策の調査報告書は(財)水道技術研究センターでまとまった資料があります。鉛給水管の交換を呼びかける記事やTV番組で取上げられるケースも散見され,この基本指針を踏まえた努力が行われていることが伺えます。 3)鉛給水管対策の緊急性ただ,人間の鉛の摂取量はほとんどが食物経由であり,また日本人の血中鉛濃度は欧米人の半分程度と,深刻な状況には程遠いとも言えますので,着実に進めるべき問題ではありますが,パニック的対応は不要と考えます。鉛の毒性などの情報について,詳しくは鉛のページを参照してください。 基本的に鉛対策としてpHを上げる処理を行う例があるのですが,これを行うと水の味が落ち,オゾン処理等の副生成物が増えるなどデメリットの方が多いとの意見があります。 海外では,オルトリン酸添加による腐食性の改善が鉛対策にも有効であるとして採用している事例もあるようで,特に英国でDWIの勧告により大々的に行われました。Water21の2002年2月号によると,英国では現在30%がリンベースで0.5−1.0mg/Lのリン酸塩添加を行っており,これによって0.05mg/L基準をクリアでき,再増殖の懸念もないとのこと。最終的には90%の需要者に対して1-2mg/Lのリン酸塩を添加する方針とのことです。もっとも,有機物量などさまざまな因子の影響を受けるため,適性なりん酸塩添加モデルの開発が課題となっています。 しかし,逆に,りん系防錆剤は鉛溶出の抑制に役立たないという見解(AWWA Journal)(リンク切れ)もあって,ちょっと判断に迷っております。この辺はもう少し研究が必要なようですねぇ。 【参考】 |
目次鉛給水管 備考・出典
更新履歴
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