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水道の計画にあたって,水道の種類とその特徴を把握しておくことが必要ですが,考えてみるとなかなかちゃんと整理した表がないような気もしましたので作成してみました。しっかし,無意味にややこいです。なんとかしてほしいところです。 【参考】水道の定義と種類1)水道の定義水道法では水道を以下のように規定しています。(水道法第3条)
つまり,「飲用に適する水」を,「管などの常用設備で供給」するもの,といえるでしょう。 この定義のもと,水道法で謳われている,3つの目標,すなわち「清浄」「豊富」「低廉」を目指して水道の取組みは進められます。この3つの目標を考えた人は偉いと思いますねぇ...特に,「低廉」がちゃんと入っているところが見事です。 2)水道の種類水道法では,続いて,水道法で使用する用語の定義として,いくつかの水道の形態を定義しています。ただ,一般に使用されている水道形態の用語はこれにとどまらないところがあるので厄介です。できるだけ,水道の種類を規定する単語を網羅できるよう,整理してみたいと思います。 なお,筆者が独自に見解を書き加えておりますので,原文は根拠法の欄を使って水道法などを調べてみてください。また,「水道行政」のように厚生労働省が発行している図書に詳しいものがあります。各々については別途詳しく説明します。
このほか,飲用に供する水を供給しないため「水道法上の水道」には該当しませんが,工業用水道も水道と同様な施設で構成されます。 【備考】 各種水道のポイント1)比較的小規模な水道事業(簡易水道事業,飲料水供給施設)(1)簡易水道 簡易水道事業とは,給水人口が101人以上5,000人以下の水道事業で,国庫補助の制度があります。新設の場合は計画給水人口が公的投資によらず現住人口の2倍を超えないこと,区域拡張の場合は給水人口が10人以上増える(飲料水供給事業では20%)こと,水量拡張の場合は計画給水量が20%以上増えること,がそれぞれ補助要件です。このほか,増補改良(水源などの枯渇を解消),基幹改良(老朽化施設の更新)などの補助メニューがあります。 簡易水道という名前が付いていますが,経営面で補助や例外規定があるだけで,供給面や技術面では,水道事業としての規制のもとで運営されています。 (2)飲料水供給施設 給水人口100人以下の小規模な水供給施設は,水道法の規制対象外で,国や地方公共団体が必要に応じて衛生対策を定めています(飲用井戸等衛生対策要領,各都道府県による条例や要綱等)。このうち飲料水供給施設とは,国庫補助金や耐震化等交付金の制度上定義されたもので,給水人口50人以上100人以下の施設をいい,公営,組合営があります。ただし,新設の場合の補助基準は10人以上100人以下で,補助等の対象は公営のものに限られます。 (3)その他の個別定義 このほか,簡易水道の定義から外れるものであっても簡易水道と同様に補助の対象になる事業形態がいくつかあります。
(4)小規模水道に関する概括 簡易水道関連の制度についての詳細情報は,毎年発行される歩掛本を購入して精読してください。また結構頻繁に変わるので,間違ってたら教えてください。なんせごちゃごちゃしててよく分からんのですよ。これが。 さて,簡易水道という制度は,コミュニティの規模が小さく採算性の低い地域に水道の整備を促し,これにより,公衆衛生の向上と生活環境の改善を図ること,が主たる目的です。もともと採算を取りにくいために補助制度を設定してまで水道普及を進めているわけですから,事業的には苦しいのが普通です。 企業体の財政運営を取り決めている地方公営企業法は簡易水道事業には適用されません。よって,一般会計と一体運営されていたり,一般会計からの欠損補填を受けている例も少なくありません。というよりむしろ,はじめから地域福祉事業として推進されている(某県のお話)ものとして考えるべきなのかもしれません。 簡易水道事業の全容については以下のサイトを参考にしてください。
【備考】 2)専用水道(1)専用水道と特徴 専用水道とは、寄宿舎・社宅・療養所等における自家用の水道であって100人を越える者(現在人口)に、居住に必要な水を供給するものをいいます。つまり,共同使用のものであることが条件となります。 ただし、他の水道から供給を受ける水のみを水源とする場合、地中又は地表に施設されている部分の規模が基準(水槽の有効容量が100立方メートル、口径25mm以上の導管の総延長が1500m)以下のものは除かれます。(法第3条・施行令第1条)...ま,ややこしいんで,例外規定を覚えるのは私には無理っす。 水道法で言うところの専用水道は水道法の適用を受けるものであり、水質基準等で飲用に供する水である必要がありますが、慣習的な表現として、例えば工場が自前で用意する産業用水のように、「水道でなくてもい」ものも専用水道と呼ばれることがあります。このような場合では,飲用に供する水でない場合であってもそれと認識して使用していればよく,この場合は消毒などの処理をしていないことになります。(このあたりの定義は私も混乱しており、指摘を受けて修正しています。) (2)地下水専用水道 最近,大口の需要者に対して専用水道を新たに設置し,水道コストを削減する動きが見られます。通常の水道料金がm3あたり平均的には150円〜200円程度のところ,大口需要者は逓増制料金制度によって400円程度の料金を支払っていますので,このような方法によって水道コストを低減することが可能になる,というわけです。 もちろん,大口であるが故の料金逓増制は,社会的貢献への負担を求め,また節水努力を促すことなどが目的の制度であったわけですが,逆にこれが水道収入の点から見た大口の忌避を招いている実態は無視できないところでもあります。2004年6月,日本水道協会がこの実態に関してアンケート調査を行った結果を公表しました。井戸取水への規制などの現状と平行して,経営への影響が懸念されながらも抜本的対策については手をこまねいている事業体の実態が明らかになっています。
水道事業の立場から考えれば、地域資源である地下水をただとりして金払いのいい大口需要者だけを掠め取っていくけったくその悪い存在ということになりますが...逆に大口の需要者から見れば、悩みの種の水道料金の負担を削減する切り札でもあるわけです。 まあ、両面をよく考える必要はあるでしょうが、どちらも真実。地域の状況をしっかり踏まえた対応を考えることが重要でしょう。 【備考】 3)貯水槽水道,簡易専用水道貯水槽水道とは、要するに水道事業から水を受けて家庭などの需要者に供給する受水施設のことです。 受水槽の管理に問題のある建物等で、受水槽の水質が問題になる例があとを絶たないため、このような基準が設けられました。 詳しい内容はこちらからどうぞ。
【備考】 4)広域水道と用水供給事業広域水道事業とは,複数の市町村にまたがる水道事業を指す慣用表現です。 水道が有すべき適性な規模は,その地勢(具体的には水源と需要者の分布)によって決まりますので,その適性範囲が必ずしも自治体の境界と一致するとは限りません。(まったく関係ないわけではなく,比較的高い相関はあります)このような背景から,一般に,広域化により,需給の均衡や水源の融通,技術者の確保,重複投資の回避といったメリットが期待できますので,厚労省としても,水道の広域化には積極的です。 複数自治体によって設立されますので通常は一部事務組合の形をとります。このため、一般に「水道企業団」という呼称で呼ばれ,地域の中心的な自治体が中心的な役割を担い,これに周辺の自治体が参加しているケースが多いようです。 広域水道は,特定市町村単独では負担するのが難しいような水源開発について一定の役割を担うことができます。しかし,渇水時のように契約受水量を供給できない場合には,水道事業とは別会計で運用されることによる財政上のひずみを引きおこすことがあります。また,水源の負担が大きい(ダム負担金などが水価を押し上げるため)として脱退を望む構成団体が発生したり,逆に後から参加したい事業体の負担割合をどう設定するかなど,会計上の悩みは深いようです。 ちなみに,広域水道事業では必ず厚生大臣の認可が必要とは限りません。県認可のものもあります。認可制度との関係ではこちらを参考にしてください。
(2)水道用水供給事業 広域水道は、用水供給のみを行う場合と、末端供給までを行う場合があります。このうち、用水供給のみを行う組織が、水道用水供給事業です。要するに、水道局に水を卸す、卸売り業ですね。 水道用水供給事業は、ダムのような開発負担の大きい水源を立ち上げるときに設立されることが多く,受水水量に応じて分担割合を設定し,長期的な起債と償還によって借り入れを返却していきます。 (3)特定広域水道事業 特定広域水道事業は県の計画に基づき設置され,原則として50万人以上の計画人口をもつ広域水道事業で,国庫補助の対象になるようです。ただし、50万人というと相応の規模なので、事例はそれほどなく、それが理由なのか、例外規定も結構あるようで、ちょっと制度についてはよく分からないところもあります。 このような法制度に絡んだ問題については,とりあえず覚えるしかありません。よって,技術士補試験などで出てきたときは苦慮することになります。 【参考】 |
目次水道の種類 各種水道のポイント 備考・出典法律なんてのは「屋上屋」典型,こちょこちょ直されるので追っかけきれません。よって,部分的に間違っている可能性がありますのでご了承ください。 更新履歴
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