水道技術経営情報
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ホルムアルデヒド Formaldehyde FALD

水道への影響

1) 水質基準・その他の基準

 0.08mg/L以下。WHO飲料水質ガイドラインで0.9mg/L以下。水道用資機材浸出基準で0.05mg/L以下。メタノールを触媒存在下で酸化して生成するらしい。

2) 毒性や障害

 内服したときに呼吸困難、めまい、嘔吐、消化器炎症等、急性の炎症毒性あり。ラットのLD50が800mg/kg、モルモットのLD50が260mg/kg、致死率でみた毒物としてはやや低めな印象。発がん性評価は IARC 2A、USEPA B1(吸入)、発がん性がある可能性が高い、という評価です。

 ただ未確認ながら、最新の知見では吸引と溶存ではリスクレベルが全く違い、吸引のようなリスクはないとのこと。WHOの基準からもリスト落ちしたらしいとのことですが、確認はしてません。

3) 汚染原因

  • 極めて基本的な工業用薬品で、脱水縮合させて有機物を合成する際に多用するそうです。
  • ホルマリン漬けで有名なホルマリンとは、ホルムアルデヒドとメタノールの混合物なんだとか。
  • 高濃度の汚染であればまず間違いなく工業原料の漏出かと。合成樹脂(特にフェノール樹脂や尿素樹脂)や農薬等の原料、住居や船舶の消毒剤として使用されます。
  • さらに、加水分解したり塩素と反応したりしてホルムアルデヒドを生成する化学物質もたくさんあるんだとか。
  • 生成量は微量ですが、塩素処理によりフミン質と遊離塩素が反応して生成する消毒副生成物の一種でもあるようです。

4) 処理方法

 水道水質辞典には活性炭吸着が挙げられています。しかし、水処理に詳しい方のご指摘として、ホルムアルデヒドそのものは親水性で極性があるので活性炭処理の効率は期待できない、生物分解のほうが有効との文献があるとのこと。濃度と処理性能に関するあまり詳しい統一的な知見はまだない、といったところでしょうか。

 ただ、塩素と反応してホルムアルデヒドが発生する場合を考えれば、その前駆物質(塩素と反応してホルムアルデヒドを生成する物質)によっては一定の効果があるかもです。前駆物質の特定を急ぐことが重要であるならば、前駆物質を流出させた主体がちゃんと事故を報告することが、二次被害の拡大を防ぐためには決定的に重要ということになるのかもしれません。

5)検出方法

 溶媒抽出−ガスクロマトグラフ(GC)法、溶媒抽出−GC-MS法等。


特記事項・小ネタ


参照


目次

水道への影響

特記事項・小ネタ


備考・出典


更新履歴

  • 120623 リスクレベルの話を追加。
  • 120526 広域断水をもたらした事件に関連する情報を追加。
  • 120522 赤字部分、処理性能に関する指摘をいただいたので追記。
  • 120520 新様式で作成


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