水道技術経営情報
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渇水 Drought

 水道に関連する災害のうち,渇水について取り上げます。渇水や水源に関する情報は需要者の要望が多く,渇水情報の告知は多数行われております。

【参考】


渇水対策

(1)渇水対策の概要

 渇水は数カ月程度前からその影響を評価し,事前に手を打つことが必要であるとともに,直前の体制整備及び災害中の対策の割合が大きいのが特徴です。また,通常数カ月手程度影響が継続するうえ,水源の新規設置は水利権や井戸の揚水規制から難しく,抜本的な解決は困難である場合が多い点で,地震以上に厄介な側面もあります。

 災害対策は,平時,事前,直後,事後の4段階で整理することができます。

  1. 平時−災害の兆候が全くない時点。
  2. 事前−災害の生起がある根拠をもって時期的に特定された時点。
  3. 直後−災害の発生直後。
  4. 事後−災害発生から数日以降経過し,復旧について検討する余地ができた時点。

 水道におけるもう一つの重大災害,地震と比較できるよう,災害対策を併せてまとめました。適用については柔軟に。

項目 渇水 対応策
平時 事前 直後 事後
水源,給水拠点の確保
○ △   ○ 安定水源の確保
  △ ○   緊急代替水源の確保
配水調整や復旧の可能な配水施設整備
○     ○ 配水系統間,他都市との相互融通
○     ○ 配水管網整備,断水ブロック設定
広報・復旧のできる管理体制(1)本部対応 △ ○ ○ ○ 対策本部の設置,応急体制の整備
△ ○ ○ ○ 他事業との協力,応援,受入体制
○ ○ ○ ○ 広報,災害弱者の把握
○ ○ ○ ○ 長期的被害予測(施設の検討)
○ ○ ○ ○ 短期的被害予測(体制の検討)
  ○ ○ ○ 被害状況調査報告,点検,記録
  ○ ○ ○ 補償,義援金の取扱い
  △ △ ○ 恒久的復旧計画策定,執行
広報・復旧のできる管理体制(2)現場対応 ○ ○ ○ ○ 情報,図面整備(配管,弁)
○ ○ ○ ○ 職員の教育と訓練,役割の明確化
○ ○ ○ ○ 機材,人材の事前確保,連絡体制
○ ○ ○ ○ 給水拠点の設置,給水車の調達
○ ○ ○ ○ 緊急代替水源の活用
○ ○ ○ ○ 水質管理,水質の確保
○ ○ ○ ○ 消防水利への配慮
    ○ ○ 減圧給水による給水制限の実施
    ○ ○ 時間給水による給水制限の実施


注) ○:有効かつ必要,△:望ましいが困難,×:有効だが困難

 渇水被害と対策の現状について取り上げているサイトを紹介します。

【備考】
 対策の表は地震と共通だったのを分離しました。


(2)水源の開発

 抜本的な渇水対策としては,水源の確保しかありません。ただ,下水処理水の再利用など,通常の水源の開発とは少し違った水源確保も,渇水対策としては守備範囲になります。

【備考】


(3)水源の融通

 ほかの水源を融通してもらったり,水道同士で水源や浄水を融通したりする事例などについて。簡単そうでなかなかうまく行かないのが実態ですが...

  • 水の融通
     水源の融通について。渇水時,渇水前の協定など。

【備考】


(4)渇水状況のPR

 渇水に陥ってしまえば,結局のところ需要者の節水協力を仰ぐしかない側面があり,告知サイト,協力要請の広報が非常に重要になるようです。渇水の告知サイトの例を紹介します。

 慢性的な水源不足に悩む福岡市は,渇水対策や下水処理水の再利用に関する調査団をアメリカの西海岸地区に派遣しました。この報告によると,資源の消費国とのイメージに反し,徹底的な節水努力がなされているそうです。家庭へのパンフレットによる節水方法の周知がなされ,具体的かつ定量的に評価するシステムが構築されています。芝生,庭木,街路樹,農業などへの供給はすべて点滴散水が前提です。水の消費量の少ない植生の推奨のほか、少ない水で多くの緑を確保するための植生の体質の躾まで取り組んでいるとのことです。水田に至ってはレーザー光線を利用して平坦化し,ロスを減らす工夫まで行っているとのことで,この辺は日本も見習うところ大ではないでしょうか。

 渇水告知サイトを調べていて気の付いた点を少し。サイトを開設する場合の参考になればいいのですが...

  • 渇水状態が解消されると,渇水を取り扱ったページが削除されることがあります。しかし,できれば,現在渇水については心配ない,といった情報を掲載して欲しいものです。常設であれば,ブックマークができるので,告知サイトとしての価値が上がります。
  • 小さな工夫ですが,最新情報のアドレスは固定し,バックナンバーは名前を変えて見られるようにするほうがよいでしょう。これも,ブックマークの都合からです。
【写真】中国天津市の節水対策の壁新聞

 JWRCセミナー原稿より。中国では,急速な経済発展の結果,河川水の取水が過剰に行われて深刻な流量低下が発生するまでに至っており,渇水の頻発など心配な状況とのこと。近い将来,水源関連技術を輸出したりすることになるかもしれませんね...

【備考】


(5)節水と減圧

 PRの次の対応としては,減圧,断水,の3段階があります。水源の切迫度にもよりますが,以下のような段階を踏んで行きます。

  1. 10%制限−広報車や掲示による呼びかけ。
  2. 20%制限−公園等の植生給水停止,水呑閉栓。
  3. 30%制限−公営プール閉鎖。計画減圧。
  4. 30%以上−計画断水。

 通常,給水条例では非常時の給水停止を認めているとはいえ,「豊富,安全,低廉な水」を供給することを求める水道法の理念から言えば,かなり違法に近い状態です。何としても避けたいところですね。1995年は全国的に深刻な渇水に陥り,その対策が見直された年でした。

 節水と併せて順を追ってまとめます。

1)節水

 最初の段階は節水と呼ばれ,公報などによって『需要者側の使用水量の削減努力』を要請するものです。供給者側からすれば受動的ですが、これを徹底することで渇水を乗りきれれば,事業経営上大きなダメージを受けることなく乗りきれます。このため,渇水対策の最初の手段として、「節水のPR」は終始徹底しておこなわれます。

 なお,通常,節水率の設定は工業用水,水道用水,農業用水の順に行われます。ただし,農業用水は時期によって必要な水の量がかなり異なるので,場合によっては農水の方が節水率が高いケースもあります。このあたりの実際は水資源の融通の項を参考にしてください。

 水道界では,水道局が配布する「節水コマ」が有名ですが,高島屋のプレスリリースによると,節水対策特集をやった際の節水グッズとして以下のようなものを並べていたとのことです。

  • 蛇口節水器
  • 節水シャワー
  • トイレタンクフロート
  • 風呂の残湯ポンプ
  • 飲料水タンク
  • 水保存袋(抗菌)
  • 缶入保存飲料水

 最後に...家庭の節水について,こんなページ見つけました。

  • 挑戦!節水大作戦@【ためしてガッテン】(リンク切れ)
     人気番組,試してガッテンのアーカイブ。

2)減圧

 供給者側からの強制的節水として,供給水圧を弁操作などの方法で低下させることにより,強制的に流出量を抑制する方法です。配水圧の操作は,配水場の流出弁や配水管網の仕切弁による操作を通じて行われます。

 配水場の弁操作では操作と復旧が容易ですが,全体にもれなく影響を与え,配水池の水深分程度しか減圧できない点がネックです。また,夜間と昼間の水量の変化が大きいため,仮に夜間水量によるバルブ開度設定では、朝のピーク時に極端に水の出が悪くなる,といった影響が予想できます。

 配水管網の仕切弁を操作すれば木目細かい管理は可能ですが,その操作に必要な人員が膨大であり,また管網内の水の流れが複雑で分かりにくいことへの対応が必要です。神様の存在がなければ不可能でしょう。また,水流の変化による赤水などの発生が懸念されます。

3)時限断水

 減圧のさらに進んだ状態。計画的に断水することで水源寿命を伸ばすことを試みます。特に気をつけないといけないのは,予定どおりに断水ができない事態を極力避けることです。

 渇水になれていない土地では,たとえば「夜9時より時間断水」と公報すると,7〜8時ごろから一斉に水をため始めます。このため,実際には7時ごろに水が出なくなってしまうケースがあります。また,低い土地において,断水告示時間にも水が出てしまうことがあり,不公平感が不信につながるケースがあります。

【備考】



目次

渇水対策
 節水の呼びかけと減圧の手順について。


備考・出典

  • 渇水には渇水対策指針が発行されているのでこれらを参考のこと。本ページはこれらを参考に作成しました。

更新履歴

  • 170614 リンク先変更。
  • 120910 新様式で作成。
  • 111114 渇水対策指針:リンク先修正
  • 111114 既往の主な渇水@国交省河川局:リンク先修正
  • 111114 高松市の水問題@高松市:リンク先修正
  • 111114 琵琶湖研究所→滋賀県琵琶湖環境科学センター


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