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ここでは,様々な情報技術の適用に関して考えたいと思います。現状ではまだまだ革新的な成果が発表されるに至ってはおりませんが,流れ自体は今後とも注目していくに値するものではないかと思われます。 情報技術の適用(1)水道界におけるIT技術の浸透状況大量のデータを比較的分かりやすいプロトコルに従って高速処理する場合にITは絶大な威力を発揮します。ですから,情報の共有などによるデータの大量化と非常に親和性があります。 水道分野における情報技術の活用についてはさまざま提案されていますが,残念ながら現時点では,水道全体へのIT技術の浸透はあまり進んでおりません。IT技術の導入の目的は,主として効率化,省力化です。そして,省力化の目的はコストを下げることです。だから,コストのかかるITを使ってコストを下げられるといってもなかなか説得力がないのです。省力化以外の付加価値に着目すれば別の道も開けるかもしれません。 もう1点,IT技術の革新スピードが速く,技術の賞味期限が短い点も大きなデメリットです。水道をはじめとする土木技術の革新スパンはいうなればタートルイヤー,何年もかけて実績と信頼を積み重ねることが必要なのですから... とはいえ,もしディファクトスタンダードを勝ち取れば,その利益はものすごいものがあります。このため,メーカーによるパッケージ提案が非常に多く出されています。 【備考】 (2)業務の効率化利用水道施設の維持管理のうち,人手を食う部分にIT技術を利用しようという試みです。 1)自動検針 水道にとって,家庭メーターの検針業務は人手を要する一大業務です。これを自動化すれば,コストの削減に資することができるのではないか,という発想は以前よりありました。基礎的な研究段階は既に終了しており,商品化もされているようです。ただ,規模のメリットが活かせるレベルになるまでの投資額が大きく,少なくとも地域の全世帯に導入しないと意味がないこと,水道事業者と住民の重要な接点である検針業務の省略に疑義が持たれていること,などの理由から,大々的に普及している様子はないようです。
2)電子入札 入札仕様書などをインターネットメールでやり取りする程度はごく普通にできるようになってきていますし,横須賀市ではインターネットによる電子入札システムの導入によって談合の防止に効果をあげています。 最初にとりあげたころは少なかったですが,最近ではずいぶん普及してきました。 3)業務支援・台帳システム 事業を行うにあたってさまざまに処理しなければならなくなる各種の統計情報を効率的に管理することを目指すシステムです。台帳システムとして,検針システムなどと統合されている場合もあります。 制御の自動化は日本は進んでいますが,業務のOA化(死語?)は遅れているという話も聞いたことがあります。費用計上ができないので資本勘定できないなど,投資制度上の制約もあるようですが,人員削減ができない,決裁が下りない,などという話も聞きます。でも,こんなのは甘え以外のなんでもないですね。もしかしたら民営化など,経営形態の変化がブレークスルーをもたらすのかもしれません。 ちなみに,私もこの手のシステムは本業で開発補助を担当してますので,お問い合わせいただければいろいろ資料はお出しできるかも(^o^)。 4)設計支援システム 作図などの支援システム。設計の際などに使用します。 地図情報をデジタル化して共有することにより,管路や検針,台帳業務などを効率的に運用しようとする取組みです。マッピングシステムとして導入の研究がはじまりましたが,技術の進歩につれ,地図情報を取り込んだGIS形式に変化しつつあるようです。
また,最近では地図屋さんや航測屋さんなどによって様々な新技術が導入されるようになってきており,衛生写真を利用するようなことも現実にできるようになってきました。
では,GISシステムの導入状況は?というと...そんなに芳しいものではないようです。私としては,その最大の問題はコストではないかと考えています。 海外ではマッピングシステムなどと大上段に構えず,担当者が安価なCADを用いて作成したりするので,当たり前のように使用されています。「もともとある地図情報を活用できる」だけで,付加価値,機能向上ないということになりますので,巨額の投資をするほどのメリットはありません。また,即応性という意味では人手に勝るものはなく,緊急対応への活用にも限界があるようです。 とはいえ,配水施設は水道にとっての最大の投資資産であり,その把握に意を用いるのは当然のことですし,木目細かな配水管理によって漏水を減らすなど具体的な効果を得ている例もありますので,十分に必要スペックを絞り込んだ上で導入については前向きに検討すべきではないかとも思われます。(安くね)実際の導入事例についていくつか紹介します。
【参考】 |
目次情報技術の適用 備考・出典
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