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ここでは水道の歴史や各種技術の経緯に関する情報をまとめるための場所です。あちこちで見かけたメモを総括していくための場所として製作しました。最終的には年表にできればいいと思ってます。お経用にご活用ください。
【参考】 水道の歴史 History of domestic water business1)近代水道以前 水道の定義を紐解くと,「飲用に供する水」を「常用の設備」で供給すること,という2つのキーワードを満たすことが必要です。この点から,ローマの水道もれっきとした水道ですし,日本でも江戸時代にはすでに水道が整備されていたと言えます。 実は,都市空間のように,人間が高い密度で共存している状態というのは,そもそも自然には成立できません。疫病などの問題を予防する措置がとられて,初めて都市が成長できるわけです。ですから,ローマや江戸のように歴史的に,有名な大都市に水道や下水道が整備されていた,というのは厳密には間違いで,上水道や下水道が整備されたことによって初めて都市が成長できた,というのがむしろ実態であるといえるでしょう。 江戸時代,江戸の人口は最大で約130万人と,世界最大級の人口密集地帯でした。このような巨大都市は,江戸の町がしっかりとした水供給と排出のシステムを有していたこと,排泄物のリサイクルシステム(汲み取り)をもっていて水系の汚染がいちぢるしく少なかったこと,などが寄与して可能になったのです。しかし,江戸末期から明治初期になると,ヨーロッパからコレラが侵入,江戸の水供給システムでは十分に衛生的環境が確保できないような,感染力の強い病原体が問題になってきたのでした。 2)近代水道の黎明期 「近代水道」ではこの「常用の設備」が「有圧である」こと,が必要です。これは,「飲用に供する水」が外部からの侵入水などによって汚染されることを防ぐ意味をもっているためです。このことから,近代水道は,基本的にはポンプが実用化されてから,ということになります。 また,「飲用に供する水」についても,一つのイノベーションが起こりました。1829年,ロンドンの水供給に初めてろ過が導入されたのですが,1855年,このろ過をされた水を供給されている地区において,コレラの発生が非常に少ないことが発見されます。この発見は,「疫学」と「水道工学」の源になったのでした。 日本で最初の疫学調査は,1860〜70年頃の「コロリ」=コレラの流行を契機に行われました。海外との交流がある港湾都市において大発生し,数万人単位での死者を出したコレラ...その対策として,疫学的に効果を上げていた,近代水道が導入されることになったのです。 日本の近代水道の創設期は明治時代で,お雇いの外国人技師により横浜に建設されたのが最初です。その目的は,伝染病の防止,安全な水の確保,消火用水の確保でした。このような事情から特に港湾都市など,大都市を中心に普及していきました。ちなみに,消火用水の確保という目的が非常に日本的でユニークであった,と「火災と水道」((財)水道技術研究センター)で紹介されています。 3)戦後の急拡張期 戦時中は,資材の不足から木管や用いられたり,水道施設に耐爆壁やら高射砲台が設置されたり,と水道も戦時体制だったそうです。実際,水道施設というのは戦時においては最重要爆撃目標の一つで,イラク戦争の際にも攻撃目標になったことは記憶にあたらしいところです。 そして敗戦,戦後しばらく低迷した水道も,経済成長に伴って生活に不可欠なインフラとして急速に整備が進んで行きます。1957年には水道法が制定され,「豊富,低廉,清浄」という,現代に通じる3大目標が掲げられました。1950年から70年の期間は水道の普及が飛躍的に延びた時期で,この時期に,日本の水系伝染業の発生はほとんど撲滅されたといっていいほど,衛生環境が改善します。この時期の水道週間のポスターを見ると,「衛生的な生活環境」が水道の最大の目標であった事実が如実に浮かび上がります。 このような努力により,概ね昭和50年(1975年)頃までには地方の水道の整備も進み,地下水が特に豊富な地域や山間地などを除いて,ほぼ国民皆水道に近い状態が出現しつつありました。 ただし,この時代は,水源水質の悪化が大きな問題となりました。まだ下水道などは特に大きな都市を除いてほとんど整備されていなかった時代ですから,家庭からの雑排水による水源悪化や負荷の増大が進みました。そして,ついに一部の水道事業で「水道水質基準を満たせなくなったら給水を停止するのか」,といった,現代では想像できないような議論が真剣に論じられるまでになっていました。 4)安定期から更新の時代へ 昭和50年代に入り,水道の整備がかなり進んだころから,その中心的な興味は量的拡張から質の充実に力点を移して生きます。水源環境の改善や新たな浄水処理技術の研究開発と導入などの成果により,現在では,当時悪かった地域の給水栓水質の改善には目覚しいものがあります。 水道行政からもこの時期からの取組みを総括したものが「ふれっしゅ水道計画」として整理され,水道整備の推進に明確な方向付けを提示しました。 しかし,戦後50年を経過した現在,初期に整備されたインフラを中心に,施設の更新が大きな問題になりつつあります。 また,病原性原虫,内分泌かく乱物質など,技術の進歩によって新たな問題が知られるようになってくることについては今後とも同じでしょう。我々水道業界の努力はまだまだ完成していません。 【備考】 水道の現状 Actuality of domestic water business(1)水道の現状に関する情報日本の水道全体のアウトルックは,日本水道協会のサイトに掲載されているのが最新と思われます。
このほか,水道を構成する個別の分野については以下を参考にしてください。
参考まで,水道統計に掲載されている水道施設の数(H17)は以下のとおり(単純計したので要チェックですが) 上水道 1,602 事業 消毒のみの浄水施設 2,892 個所 配水池 10,310 箇所 【備考】 (2)水道界の課題1)課題のリストアップ すでに水道水は「最低限の生活インフラ」の段階を終え,「選択肢の選べる贅沢品」の域に入りつつあります。拡張を基礎としたイデオロギーに代わる哲学の構築は,個々の事業体に任されていますが,需要者を含む,皆が考えなければならない命題ではあるでしょう。正直,問題点は様々にあり,また事業体によって千差万別なんですが,一応メモしておく場所を確保します。 ●事業運営の効率化
●水質の適正化
●水道施設の維持更新
●危機管理
2)水道事業者の課題認識 水道産業新聞050616に,水道ビジョン公表から1年の節目を捉えたアンケートが掲載され,水道事業者の意識が数字で算出されました。この結果から特に参考になりそうなデータを少し収集します。 ●水道事業が直面する課題
●水道施設の運営基盤強化で実施,もしくは検討している項目
●安全・安心な給水の確保で重点的に実施している項目
●震災対策で重点的に実施している項目
●環境・エネルギー対策で実施・検討している項目
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目次水道の歴史 水道の現状 備考・出典更新履歴
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