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ここでは,水道に関連する災害のうち風水害について取り上げます。特に,風水害の多い,九州東部,南部,そして沖縄などでは,水害への対策は重要な検討項目のひとつです。 雷害 Hazard of Thunder落雷による水道への被害は,主としてテレメータ類の破壊です。避雷針などは必ず設置しますが,それでも電装品は落雷に弱く,結構簡単に壊れてしまいます。 【備考】 風水害 Weather Trouble(1)風水害の事例風水害の事例について集めました。関連サイト,専門サイトもありますので是非ご参考ください。
(2)風水害への対応ここでは,水道施設における風水害対応について考えます。水道施設での風水害被害としては,取水場,浄水場などでの,取水障害,浄水場の冠水,土砂災害などが考えられます。水道施設の大部分を占める配水施設は,もともと水を扱う施設ですので,冠水には強いようです。また,配水池などの主要な水道施設は,高い位置に設置することが多いので,土砂災害を除けば比較的洪水の被害を受けにくいといえるでしょう。 1)取水障害 取水被害としては,水質の悪化(主として濁水化)や流芥の流入による障害,取水ポンプの駆動部冠水による取水停止などが考えられます。 取水水質の濁水化はどうしようもありません。浄水施設の運転管理員の管理能力で対応します。緩速ろ過や高速凝集沈殿,膜処理など,濁度の変動に弱い処理方法を採用している場合は取水停止も視野に入ります。 また,流芥の進入が増える点については非常に大きな問題となるケースがあります。流木や自転車などの大型のごみが入ったり,ど○えもんさんが流れ着いて警察沙汰になることすらあります。 取水ポンプの冠水が発生すると,比較的長期間浄水場の運転が停止する可能性があります。取材した事例では,浸水の経験から沈砂池の取水ポンプがかなり高い位置に設置されており,この結果として水没を免れたため,比較的早い時期に運転を再開できたそうです。また,排砂ポンプなどもクレーンからつり下げられており,使用時にホイストから投下して使用する形式であったために,こちらも難を逃れました。洪水の可能性がある取水施設の設計に参考になると思います。ただ,河川に施設を設置することは河川部局の抵抗が厳しく,取水施設が複数化されているケースはほとんどないのが実情でしょう。このあたり,災害対策として主張していく余地があるかもしれません。 2)浄水場の冠水 非常に恐ろしいのが浄水場が冠水するケースで,電装品類の故障のほか,浄水処理の停止を免れません。また,濁水の浸入は衛生上非常に問題があります。 取材したケースでも,最終的には浄水場の大部分が冠水し,給水の停止に陥りました。復旧対応は施設の清掃と消毒から始まりました。計器や機器類は水洗いして天日干ししたとのことです。 3)非常時の職員対応 集中豪雨の時点では職員は常勤職員のみでした(当然ですが)。被害の懸念が出た段階で緊急召集をかけるも,国道の冠水により不可能となり,最後は車を捨てて徒歩にて出勤したとのことです。また,付近住民が浄水場に避難してきたため,その対応にも人手を割いたそうです。 非常事態においては,柔軟に対処できる人手の確保が大切,という示唆かと思います。浄水場の維持管理などを遠隔で行う試みについてはさまざま計画されていますが,このようなケースについても或程度バックアップを考えないといけないでしょう。 4)後始末 一段落した後の抜本的対応作業として,河川側堤防の嵩上げ,排水ポンプの強化拡充,冠水した浄水池の上屋の締め切り,発電機室の崖の上への移動などを行ったそうです。特に重要な対応は電気設備の高台への移動でしょう。別の浄水場での話ですが,電気盤が取水ポンプの近くに設置されていたために冠水し,取水ができないために浄水場全体が停止したことがあったそうで,「大雨が降ったのに水が止まるってのはどういうこったい」なんて嫌味をいわれたとか。 【参考】 |
目次雷害 風水害 備考・出典
更新履歴
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