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浄水処理の過程で分離した不純物が汚泥ですが,汚泥から分離された水も貴重な水資源です。ここでは,汚泥と分離される回収水について扱います。 【参考】 排水処理施設
排水処理施設とは,水処理の過程で,除濁処理施設の機能を維持するために使用した作業用水(排水)を処理し,汚泥と水を分離する施設で,主に逆洗浄を使用する水処理法,急速ろ過システムや膜ろ過システムを使用する場合に必要になります。 急速ろ過システムを例に,回収水が発生する場所について整理すると上のようになります。 1)排水槽逆洗浄プロセスでは一気に大量の水を流すことで行うので,直接濃縮槽に投入すると,非常に大きな容量が必要になってしまいます。そこで,排水槽を設けることで,急速ろ過池からの逆洗浄水をいったん貯留し,汚泥分を分離して,大部分の水を回収します。
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急速ろ過システムを例に,回収水が発生する場所について整理すると右のようになります。
排水槽は水を回収することが主目的で,回収された水は着水井,凝集沈殿池のいずれかに返送されます。ただ,排水槽からの回収水によって沈殿プロセスが影響を受けるのは好ましくないため,着水井への返送を前提としたほうがよいかと思います。
濃縮槽で分離される水は排水槽よりも長時間滞留したものであり,また微細な濁質を含む可能性が高いものです。このため,濃縮槽の上澄水を返送する場合は着水井でなければならないでしょう。
排水槽,濃縮槽は汚泥と水を分離するための設備です。これに対して,汚泥処理施設は汚泥の性状を向上させることが主眼です。よって,浄水場管理の立場から考えれば,汚泥処理施設からの排水は河川などに放流する方が自然です。特に,原水の汚染が進んでいる場合などは,有機物含有量が高く,また臭気を持ったりする場合がありますので,浄水フローに戻すのは少し抵抗があります。天日乾燥床からの排水であれば法的規制に引っかかることもないはずです。
ただ,周辺住民が排水の流出に不快感を示すケースがあるので,浄水場もなるべくクローズ化するのが最近の流れなのだそうです。
このような背景から,天日乾燥床の排水を着水井に戻すこと自体は普通に行われているそうですが,直接着水井に戻すことには抵抗があるので,一端濃縮槽などに戻す形を取ることがお勧めだそうです。ただ,最近は,せっかく汚泥に分離されたクリプトなどが再び水槽に戻る可能性を考慮すべきであるとの意見もあり,対応について研究されているようです。
場内排水とは,場内の降雨などを集めて流す水のことです。特に降雨開始後十数分程度の汚染されている可能性の高い雨水を排除できれば水質的には優れた水を得られますので,浄水場の原水として使用することも考えていいと思います。
ただ,場内排水,特に道路排水を着水井などに戻すと,油が入ってしまうケースがあるので,場内雨水を利用することを考える場合は十分な配慮が必要となります。
【備考】
上下水排水一体処理とは,浄水過程で排出される汚泥,あるいは排水の全部を浄水場内で処理することをやめ,一部を下水道に流して下水と一括処理する方法です。メリットは以下のとおりです。
デメリットについても簡単に触れましょう。
横浜市,京都市,神戸市などで事例があるそうです。e-Waterの研究テーマの一つとのことなので,詳しくはそちらを調べていただければ。
【備考】
排水処理施設
浄水処理の過程で発生する作業用水の回収について。
回収水
浄水処理の過程で回収される水について。
上下水道汚泥一体処理
浄水汚泥を下水道で一括処理することのメリットとは?
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