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水源の保護手法の一つ,生態環境の創出による水源環境改善について。水源保全のページから分離しました。
【参考】 生態環境による水源水質改善 Creation of Biotope(1)環境の創出植生を植えることによって,生態環境(ビオトープ)を水質改善に活用しようという考えは,水系の富栄養化現象による水生雑草の異常繁茂がヒントになっています。生育に伴う栄養塩の消費や,植生による物質移動の促進などが水質改善に効果がありますが,現象が複雑でその定量的な把握は難しいのが現状です。 水系の浄化効果を期待される植生の特徴を以下に示します。植生による直接の水質改善効果に大きな違いはないようですが,成長の速度や回収の容易,冬期の枯死などの問題を必要に応じて選定すればよいでしょう。
植生の繁茂を起点として,さまざまな底性生物(ゴカイ,イトミミズ,貝類など)が生育すれば,魚類の育成など,さらに高いレベルでの生物環境が生成できます。好気的な環境を維持しつつ,旺盛な生態系を構築することが最終的なビオトープの目標で,そのための研究や導入事例は次節以降に示すとおりさまざまに行われています。 【備考】 (2)抽水植物の利用アシなどの水辺に生える植物の効果により,水系の改善を図るケースです。 1)原理 有機物の除去にも多少の効果があるようですが,特に窒素の除去に有効だそうです。これは,茎,根を通じて酸素が地中に供給されて根の周囲の狭い範囲が好気的になり,この部位で硝化が起こる一方,根から離れた部位は嫌気的で硝酸性窒素が脱窒されるためで,同時にここで生じた窒素が植物体を通じて大気中へ放出されます。また,植物の成長期時は,自身が栄養として栄養塩類を吸収します。特にアシなどの抽水植物の空気を輸送する働きが強く,水質改善を期待してアシなどを植生する例があります。 また,植生が存在することによる微生物の働きなど,多くの生物の生息できる環境が創出できます。良好な生態系は物質循環が盛んで,自然浄化作用が発揮され,健全な水環境が形成されると考えられます。 副次的には,植生などへの接触による沈殿や吸着などがあります。 ただ,その浄化性能は環境条件に大きく左右されます。他の物理的または科学的手法に比べて大きな浄化効果を安定して期待することは難しく,特に冬期における枯死とこれによる環境負荷が大きな問題です。また,用地の選択余地が少ないことも特筆すべき点でしょう。温度,光量,水深,水流,栄養塩類,pH,DO,塩分濃度,生育密度,競争(外来種による在来種の駆逐など),食害,富栄養化現象による植生単純化,人為的な影響(改修工事など)について検証することです。 2)植生の選定 水質の改善を目的として植生を選定する場合の用件には以下のようなものがあります。
代表的な種として,アシ,コマモ,ガマ,セリ,クレソン(オランダガラシ),ウォーターレタスなどがあります。 3)事例 植生浄化の事例についてはサイトに見ることにしましょう。
【備考】 (3)浮漂植物の利用湖沼流入部などに浮漂植物の栽培区画を設けて栽培,刈り取り・回収を行い,植物の栄養塩類吸収能により水質改善を図る手法です。遮光が特徴ですが,回収が必要というデメリットがあります。 1)原理 浮漂植物の利用で通常の植生浄化と異なる点は,遮光効果が見込めること,池の全面に広がって藻類抑制物質を出すものがあること,などです。一般的な植生浄化と比べると成長の速度が速い点も利点ですが,嫌気的環境の改善には効果があるようには思えません。 浮標植物を使用する場合は,その除去を定期的に行うことが必要で,取り除いた植物が産業廃棄物となって処理に頭を悩ます例が後を絶ちません。 2)事例 手賀沼浄化事業(千葉県と手賀沼流域の5市3町共同)の1つとして,昭和57年にホテイアオイによる浄化事業が行われたときいております。 また,一部にはウォーターレタスを使用したケースもあるように聞いております。 【備考】 |
目次生態環境による水源水質改善 備考・出典更新履歴
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