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事業計画策定の手順,計画の見直しのタイミングなどについてとりまとめました。各種計画関係パラメータの基本となるページです。 【参考】事業計画策定の手順水道事業は非常に長期的な投資に基づく事業であって,その事業計画を立てるためには長期的な傾向分析による正確な将来予測が必要です。しかし,現代は社会構造の変革期にあり,水道界をとりまく状況は捕らえにくいものになってきています。勢い,将来を見通すことは従来以上に難しくなってきているといえるでしょう。 事業計画の立案の手順を以下に示します。が,さまざまな状況や得られる情報によって柔軟な対応が必要なことは論を待ちません。 1) 計画準備基礎調査と重なりますが,計画策定に関する業務契約書,既往の協議事項,既往の検討書などの資料を十分に調査検討します。また,必要に応じて関連の団体へ赴き,資料を収集しましょう。業務実施にあたっての具体的かつ技術的な調査の基本方針及び作業スケジュールを検討し業務計画として提案します。 ところで,事業計画のなかでもっとも重要な計画給水人口や需要水量について,上位計画や事業体全体の基本計画などで決議された目標値など,計画前にある程度の目標値が提示場合があります。また,水道事業の計画が概ね10年に1回の見直しスパンであるのに対し,ダムなどの計画は最低でも計画合意段階で10年程度を要しますから,タイムスケジュール的な整合を図るのが難しい場合があります。 この場合,基礎構想や基本計画であれば比較的フリーハンドで予測を行えるケースもありますが,認可レベルにまでくると,既にこれは計画というより合意のための「詰め」ですので,自由な計画設定ができないのが普通です。計画の精度は常に重要ですが,上位計画をまったく否定したり,直感的に結論を出すことは通常できません。(個人的には,このような理由から,「需要予測」という呼称を避け,「事業計画」と呼んでいます。) このあたり,計画担当者にとっては痛し痒しです。見通しと計画値 にどうしてもずれが出る場合には,せめて,現在の計画値が不合理であることくらいは指摘しておきましょう。それがきっかけで上位計画が見直されることを祈りつつ。 2)資料収集整理本業務に必要な既往の報告書及び類似調査に関する報告書,文献,各種統計資料,計画書などを関係機関より収集し,これらの資料を,項目別,地区別に分類整理し,経年的にとりまとめます。更に,社会経済状況など,直接数字にならない周辺情報なども収集しておくべきでしょう。可能であれば,資料のデータベース化が可能なよう作業し,次回計画まで継続的にデータが集められる形にしておくことです。
この段階では,目標年次や給水区域の設定など,さまざまに仮定しなければならない条件があります。 3)現状分析調査対象区域内の市町の地域特性(社会・経済状況,市町間の関わり)及び,水利用状況(水源,用途別使用水量等)をより詳しく把握するため,現場の視察や事情の聞き取りを行います。特にここで注意しなければならないのは,「統計の裏」,すなわち統計値に表れない生の現象に類する印象を可能な限り集めることです。雑談などを通じて,広く交流を持ちましょう。 4) 総合解析水道施設設計指針に提案される予測方法(通常水道事業が採用する方法)のほか,必要に応じてその他の推計手法を導入して各種の推計計算を行います。計画への適用性や推計手法の性格を考慮して,こうして得た解析の結果を総合的に評価します。 いくつかコツを示します・
事業計画の見直し1)見直しの必要性計画値は所詮予測値ですので,いずれ見直しが必要になります。事業計画の見直しのタイミングにはいくつかあります。
とくに4については補足が必要かとおもいますが,筆者は基本計画は最低でも通常10年に一回程度は見直すべきと考えています。これは,基本計画に使用する実績データが10年分であること,計画策定作業を通じた事業のチェックにいいタイミングであること,上位計画である都市計画が5年,10年単位で見直されること,などです。 2)計画値と実績値のずれへの対処新期計画の策定作業に入る際,既往計画と実績値がどのような関係にあるかによって以下のような対応パターンがあります。
3)他計画との関係需要予測では,地域の他計画との整合を要求される場合が多いのですが,データも計算方法も違うのに,推計結果だけ整合することを要求されるのは少々困った現象です。ただし,他計画も運用されている以上,できるだけ整合については配慮せざるをえません。互いによく協議して,妥協点を探るしかありません。 特に,下水道計画が先行している場合,下水排出量の方が水道需要量より多いといった不合理を生じないように配慮してあげましょう。あちらさんは建設省管轄で安全のための事業ですから,水道ほど採算にこだわらず,余裕を大きくみて許される風土があります。 また,行政区域内に複数の水道事業が平行して整備される場合,簡易水道などの計画人口を確認し,行政区域内人口に対する普及率が100%を越えないなど,不合理にならないことが必要です。 このほか,行政監察などによって見直しを勧告されるケースもあるようですね。「水資源に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」はその一例と思います。平成16年度の全国水道担当者会議では,水資源開発事業からの撤退の指針なども打ち出されておりまして,この辺はしばらく目が離せないところです。 【備考】 事業計画の項目これは,水道台帳の様式3,4で提案された書式ですが,非常にコンパクトにまとまっていて,事業の特徴がよくわかるので,事業計画もこの表の項目を埋める形で策定されます。 各項目の算定方法等については個別に取りまとめます。
【備考】 事業計画の改善についてここでは,事業計画手法の改善について提案します。事業計画の立案についてはいろいろ改善の余地があると思っておりますが,なかなかその提案が受け入れられることはありませんので,いうなれば憂さ晴らしで掲載します。(^o^) 1)事業計画の単純化需要予測は個別事業すべてにおいて策定されています。ざっと挙げただけでも以下のようなものがあります。
個別に検討する理由は,各々の数字に使用目的が加味されるからです。1や3では政治目標としての意図が入っていますし,2の場合は超長期にわたって水源不足を予防しなければなりません。これらでは多めの予測が必要でしょう。4では水道としての本音,5では本音を踏まえた実現性が背景にありますし,6では説得力が必要です。7に至っては,建設費用の負担をめぐる駆け引きの道具にすらなります。 基本的なこつとしては,あまり細かくやらない(あんまり細かくやっても意味はなく,無意味な外乱が増えるだけなので,最初に,各因子の重要性の比重を考え舐れる項目は舐ってしまう。)こと,データの精度や区分を疑ってかかること, しかし,いずれも需要予想であることに違いはありません。私的には,予測としての数字は各段階で1本化し,これに各々の事情に応じた安全率,余裕率を設定する方法を取ってみたいと常々思ってます。 2)潜在的需要の把握用水供給事業や,水道としての水源開発計画に関係する予測では,予測の時間的スパンが非常に長くなる傾向があるので,現在の需要水量から予測するのは問題があると思います。むしろ,地域の潜在的水需要に関するトータルなマスバランスを描き,水道など生活用水にみならず,農業や工業などの需要配分を考える必要があろうと思われます。 これまでの実績をもとに,水需要の伸びと水源の余裕率−特に水道料金や渇水の経験−との間に,どのような関係があるのかも分析してみたいと思っとります。 もっとも,権利関係が入り組んだ非常に難しい検討になるのは避けられませんけども... 【参考】 |
目次事業計画策定の手順 事業計画の見直し 事業計画の項目 事業計画の改善について 備考・出典更新履歴
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