水道技術経営情報 ![]() |
コンサルタントの水道技術経営パートナーズが運営する、水道技術や経営の情報サイト「狸の水呑場」へようこそ。お問い合わせはこちらへ。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
民間資金を活用して公的事業を推進する手法。民活,及びPFIについては,PFI法が制定されて後,様々に取りざたされるようになってきています。水道界においても今後を考えれば大きなうねりになる可能性があるので,PFI関係の欄を作成することにしました。 なお,PFIの関連記事として,水道の民営化については別ページに掲載します。
【参考】 PFI1)PFIの概念と経緯PFIという言葉と基本的な概念はイギリス生まれです。1992年,巨額の財政赤字に苦しむ英国のメージャー政権が「小さな政府」を目指してこの概念を導入したのがそもそもの始まりで,経済価値の測定(VFM)などもこのときに生まれた手法です。 非常に単純化して言えば,公の信用に基づく資金調達が困難あるいは高コストな場合に,事業計画や収支見通しが明確化できる範囲について,民間資金を調達して事業を実施すること,ということになろうかと思います。このため,この概念は,資金力の乏しい発展途上国などでも広がり,多くの成果をあげるようになってきています。 日本では,1997年に財政構造改革法制定され,1998年にPFI法案が議員立法で上程されたものの,景気悪化に伴う先送りを経て,難産の末)1999年に「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI推進法)」法として成立しました。(施行後5年以内に実施状況を踏まえて見なおすとの付帯条項を有しています。) ただし,PFI法は基本法ですので,水道におけるPFIの適用については個別立法を待たなければなりません。PFI法の立案過程において,経済企画庁(当時)では,PFI事業の適用が適当であると考えられる13の事業分野を提案しましたが,ここには水道を含む基幹的社会インフラに関係する事業は含まれておりませんでした。これらの事業では根拠法で施設管理者が事業体等に限定されているためということだそうです。 平成15年度の水道法の改正では,民活の推進に関連して,技術監理業務の委託が可能になりました。さらに,この他にも,総務省によって公的施設を民間に貸し出して運営委託をすることも可能になるような改訂もあったため,事実上,法的な障害はほぼなくなったといえます。 平成18年度末現在,水道事業へのPFI適用事例は,浄水場のうち汚泥処理など一部施設を対象としたものがいくつか実施中です。しかし,浄水場全部や水道事業の根幹を対象としたPFIはまだ実施事例はありません。 2)PFI法の要綱PFI法の正式名称は,民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律です。以下にその要綱を簡単に読み解いてみます。 (1)目的〜第一条 第一条 この法律は、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用した公共施設等の整備等の促進を図るための措置を講ずること等により、効率的かつ効果的に社会資本を整備するとともに、国民に対する低廉かつ良好なサービスの提供を確保し、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。 つまり,この法律の対象は明確に公共施設である点に注目,ということですね。 (2)主要なポイント 以下に範囲や定義などについての規定を整理してみました。
予断ですが,公的資産を私用に使用することを禁止する法律がたくさんあるので,その例外規定をいっぱい書いてるのが非常にウザイです。 3)PFIの導入によって得られる効果PFIの導入は,現在の監督官庁にとっては,「事業遂行の方法が増える」だけのことで,所掌事業の領域が変化するわけではありません。PFIの草分けとも言える英国でも,民間が長期的な収支計画のもと事業を経営するものの,国は計画の監督などに当たるのが一般的なようで,水道分野では水質監視,経営監視,水源監視,の3つの組織が常に水道事業の監視を行っています。さらに,制度設計そのものが常にマイナーチェンジを受けているようで,水道会社の経営もこれに振りまわされている点が否めません。 では,PFIはなぜ注目されているのでしょうか。 PFIの概念がわが国で提案された段階では,以下の二つの説明がなされていました。(5年前の記述をほぼそのまま残しました。)
では,実際のところどうでしょうか。1のような地方財政の逼迫は除除に顕著化しつつあり,その意味では予言は的中したといえるでしょう。ただし,それがまだ資金調達に直結しているとまではいえません。スプレッドの拡大など,自治体の信用力の差による金利差の拡大は観察されますが,それでも,よほどの一流企業を除いて,民間企業よりはずっと金利は低いようです。もっとも,自主運営できなくなるような小規模の水道事業が長期債を振り出す可能性は考えにくいのですが。 2については明らかにそのとおりなのですが,そのメリット以上に,手続きや明確化にかかる手間が大きいことが実感されつつあります。ある程度以上の事業規模がないと,その手間を負担することさえままなりません。ただ,競争の促進ははっきりと大きな効果をもたらしており,コストの縮減効果はおおよそ10〜30%程度は期待できるようです。 4)性能発注についてPFIの特徴は「性能発注」,すなわち,発揮させたい性能を明示し,それを達成できる方法であれば,その他の問題は不問に処す考え方です。が,性能発注には大きく2種類あることに注意しなければなりません。
後者のような形態での性能発注は,更新に係わる性能の精査などの手間をかけなくて済む分,設計,事務費を抑制できます。このような性能発注は,昔の下水道事業団物件や廃棄物関連物件で多数の実績を有しております。 ただし,現品と同性能以上の物を同じ価格以下で,といったような,比較的単純な内容で発注する場合でなければ,不経済な発注になりかねないリスクもあります。 業者側の創意により費用を抑制する効果を最大限に引き出す目的で性能発注を行う場合(前者)では,PFI関連事業で行うように,仕様の精査やリスク分担など,詳細かつ非常に大変な検討を行い,要求性能を精査しないといけません。 よって,大きな費用抑制の効果が期待できる,大規模事業を対象としたPFI事業などに向いています。 【備考】 PFIに関連するサイト1)PFIの制度PFI方式による公的施設整備は各方面から注目されており,政府機関を含めてさまざまな立場から研究が行われております。特に,内閣府のページは事例も多数掲載されていてすごく役立ちます。関連サイトおよび収集情報をとりまとめます。
2)PFI関連事業の状況
3)水道におけるPFI事業事例結構事例も増えてきましたので一度整理しました。DBO(PFI法的手法),コンセッションもついでに。
|
目次PFI 備考・出典更新履歴
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
![]() |