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地球環境の保全に関する関心の高まりとともに,水道においても環境対策の必要性が認識されるようになってきました。もとより,自然環境から原水を得てこれを配水し,また人間生活のもっとも基本的な衛生環境を担う水道事業は,環境への意識も高いものがありました。しかし,その評価手法や水源対策以外の取り組みについては,まだまだ発展途上にあります。ここでは,水道と環境対策に関する知見などを集めたいと思います。 環境会計ついては,その基本的なノウハウを確立しております。いそいで環境会計(水道版)をやらないといけない方,本格的にじっくり検討したい方,是非ご一報を!(宣伝!) 【参考】 環境会計1)環境会計
環境会計とは,会計の概念を応用し,環境負荷低減のための種々の取り組みを記録,これと,環境対策事業への投資とコスト削減量とをバランスシートの様式によって定量的に把握できるようにしたものです。 環境保全のためのコスト(貨幣価値),環境保全による経済効果(貨幣価値),環境保全活動により得られた効果(量的価値),の3つを把握し,可能な限り定量的に測定し,公開します。 (2)基礎的理念 企業体は投資家やステークホルダー(関係を持つすべての者)に対して,その実態を説明する責任をもち,これをアカウンタビリティといいます。アカウンタビリティには,財務状況に関するものと,非営利的な活動に関するものの両方を含んでいて,特に後者を環境アカウンタビリティと呼びます。 環境アカウンタビリティを果たすためには,企業体の有する活動を運営,総括することが求められます。このための手法として,「環境管理システム」なるアクションプランを策定し,PDCAサイクルにのせてこれを運用,結果を公開することになります。 評価の手法には様々な方法が提案されていますが,その多くは,CBA(B/C)などのOR手法を準用したものです。各々についてリストアップしてみます。
(3)作業上の注意事項 一言で環境対策事業と言っても,騒音や温熱環境対策,温暖化ガス排出防止,公害性物質の排出抑制,資源のリサイクル,汚泥等の有効利用,といったように,全く性質の異なる各種の事業が範疇に入ってきます。さらに,例えば「太陽光発電の導入」の例で見ると,その発電による温暖化ガスの排出抑制と,その設備の設置に必要なエネルギーコスト,といった風に,互いに利害が相反する項目も散見されます。 つまり,環境会計の実施のためには,どのような事業がどのような効果と影響をもたらすのか,そのコストやそこから得られるコスト縮減効果がどの程度なのか,といった仕訳(これを目的基準といいます)を確立することがキモになります。これをもとに環境会計集計表と,達成度の説明をします。 研究してみた結果として,大まかな手順は次のようになります。
【備考】 2)水道の温室効果ガス排出量それでは、水道事業からの温室効果ガス排出量は一体どの程度なのか...ということで、関連資料をざっくりとチェックしてみました。 (1)総排出量 厚労省さんの調査によると、H18年度時点で、水道事業・水道用水供給事業による温室効果ガス(GHG)の排出量は313万トン-CO2で、これはわが国全体の0.2%とのことです。このうち電力の消費によるものが307万トン、燃料の消費によるものが6万トン。給水量で除すると、1Lあたり0.202g-CO2に相当します。 個別の事業体では、東京都水道局の環境会計報告書(H18)によると、東京都水道局の排出量は約34万トン-CO2ですから、ほぼ全国の1/10.。ちなみにこの数字、水源林による吸収分を差し引いてあります。横浜市は同様に環境会計により、H19年度実績で6万4千トン-CO2と記録されていました。なお、横浜市のデータでは下水道からの排出量も併記されていて、こちらは17.7万トン-CO2と記載されています。 では、他の産業と比較してみましょう。週刊「エネルギーと環境」が環境省・経産省発表から算出した結果によると、平成19年度のわが国の主要企業のCO2排出量は以下のようになっています。なお、電気事業者はエネルギーの配分前なので注意。
なお,電力量1[kW/h]を得るためのエネルギー投入量は,東京の場合でたしか9.97[MJ]です。単純換算すると1[kWh]=1×1000×3600[J]=3.6[MJ]となりますから,この比が発電効率ということになりますね。 (2)水量あたり排出量 前述のとおり,厚労省資料によると,水量あたりのCO2排出量はおおよそ0.2g-CO2/L に相当しますが,当然、事業体によって水量あたりのCO2排出量の差は大きくなります。ちなみに東京都で 0.167g-CO2/L、ほとんどは0.5g以下ですが極端に大きい事業もあるとのこと。 ちなみに、代表的な輸入ボトル水エビアンで 172g-CO2/L とのことですから、約千倍ですな。 また,エネルギー使用量の換算においては,薬品等を換算して計上している場合や,水源林の吸収分を控除している場合がありますので,比較検討される場合は計算範囲を確認されたほうがなおよいでしょう。 (3)総排出量で見るか原単位で見るか 目標設定としては,継続的な取り組みができれば、総量でも原単位でもよいらしいです。 ただし,水需要が増加する時代は原単位で,水需要が減少する時代は総量で目標設定する方が有利なのは明らかで,その辺はいまいち,あいまいです。 日経産業新聞の2008年12月17日の記事によりますと,この時期に政府が試行をはじめた排出権取引の取り組みの評価方法は,6割が原単位による目標設定だったとか。 【備考】 3)事例等(1)環境会計関連サイト 環境影響の評価については原単位の整備などの形で現在さまざまに研究され始めています。環境対策関連のニュース(リンク切れ)も多数報告されていますし,平成13年度の水研でも環境会計に関する研究成果(リンク切れ)が報告されていました。今後の手法の開発を注目していきたいと思います。
(2)水道事業体の取り組み また,水道事業体による環境会計の取り組みの事例についていくつかぐぐった分を乗せておきます(ぐぐ順)。環境会計は実施しても公開しなければなんの意味もないので,積極公開されています。探せばたぶんもっとたくさんあります。
その他,具体的な環境対策については量も多いので別ページにまとめました。
【備考】 環境に関連する法制度等水道施設のほとんどは電気を動力源として利用します。このため,浄水場などで取得できるエネルギー資源の電力変換については,いくつか取り組みがなされています。ここでは,これらの動きについて取り上げます。 環境管理システムの認証に関する国際規格,ISO14000シリーズの取得は,環境対応を行っていることへの標識を掲げているようなもので,客観的に説得力を持ちます。基本的には施設や事業所に対して取得する資格ですが,部分的にでもこの認証を取得した水道事業体も多数でてきています。 ちなみに,私も社内のISO14000の推進副担当です(^_^)ゞ... 平成9年度の京都議定書の主旨に基づき,省エネルギーを推進するための具体的な施策について規定され,平成15年4月から水道事業者なども対象になるらしいとのこと。対象は以下のとおり。
この電気容量は,大体10万人クラスの浄水場に匹敵するレベルとのことで,大規模なところを中心に対応が必要だとかないだとか。 基本的には,年1%程度の電力使用量の削減計画を立案しなければならないということのようなんですが...実態は現時点では不明です。ただ,たとえば需要水量が減るので電力使用量が減る,といった受動的な計画ではだめで,原単位的な考え方で企業努力として取り組む必要があるそうです。 経済産業省の所管分野であり厚労省は動けないので。水協にガイドライン策定を要請する動きがあるらしいです。 なお,この件については,財省エネルギーセンターが様々な取り組みを紹介しているほか,診断もやってくれるらしいです。
ASHさんに教えてもらいましたのでとりあえず掲載。すべて伝聞形式なのは私が内容をよくつかんでいないためです。 (3)レシポンシブルケア(責任ある配慮) 環境・安全・健康に対する配慮をもって総合技術監理のすべての行動を行うこと。化学業界での取組みが最初らしいのですが...詳しいサイトへどうぞ。
(4)PRTR 化学物質等の生産,排出,移動を明らかにしようとする取り組み。専用のページをご参考くださいまし。
【備考】 |
目次環境会計 環境影響の評価手法は様々に取り組まれています。 備考・出典更新履歴
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