水道技術経営情報
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汚泥処分 Sludge Disposal

 沈殿池の処分に関する情報をまとめました。

【参考】


汚泥処分

1)汚泥の種類

 汚泥として浄水場で排出される固形成分にはくつかの分類があります。非常に大雑把な分類ですが,少し整理してみました。

  • 流芥物
     取水時に侵入してきた固形物。わらや魚など,動植物の死骸が中心です。
  • 浮渣(スカム)
     沈殿池などで浮かぶ,泡とも泥ともつかない物質。上水道では,急速ろ過システムを採用している場合にフロック形成にともなって発生するものが中心です。ある浄水場で測定したところ,成分は,C,O,Al,Si,Cl,でした。よって,流芥物と泥と凝集剤の混合体であると考えられます。
  • 汚泥(スラッジ)
     凝集剤や懸濁質などが一体となって沈降,ろ過により分離されたもので,洗砂排水,沈殿排水,ろ過池洗浄水,などの混合物です。凝集剤の注入が適正であれば分離します(ALT比が高い=ALが少ない)が,凝集剤が過剰だと芳醇で壊れやすい汚泥になります。
     浄水汚泥の濃度は1%程度,比重1.01以下程度だそうですが,浄水場の状況によっては異なるかもしれません。あまり高い(数%以上)と排泥不良を起こすこともあるそうです。
     以前はそのまま畑に撒けるようなものもありましたが,原水の水質が悪いと,有機物の含有量が多くなるため,腐敗する場合もあります。一般に,藻類,鉄,マンガンの多い地下水,低濁度,低温,長期貯留の場合は処理困難です。また,粉末活性炭処理を行う場合,投入された活性炭は汚泥になるために,非常に取り扱いが難しくなります。
  • ケーキ
     脱水汚泥のことで食べられません。産業廃棄物であり,その処分には有資格者が必要です。

2)汚泥処分に関する規制

 上水,工水の浄水施設のうち,法的縛りの対象である施設は以下のとおりです。

  • 水質汚濁防止法適用特定施設(水質汚濁防止法の規定,別表64−2)
     10,000m3/日 以上の沈殿設備,ろ過施設,脱水能力10m3/日以上の汚泥脱水施設
  • 産業廃棄物処理施設
     10m3/日以上の汚泥脱水,乾燥施設,100m3/日以上の天日乾燥施設

 このほか,実際の運用における規定は以下のようなものがあるそうです。

  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律第12条
     産業廃棄物処理責任者を置かなければならない。
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第6条第3項
     汚泥の埋立処分(水面埋立処分を除く)は含水率85%以下にすること
  • 水質汚濁防止法施行規則第9条第2項
     10000m3以上の沈澱池,ろ過池から排出される日平均排水量が,
    @ 400m3以上は毎日
    A 200−400m3未満は7日以内毎
    B 100−200m3未満は14日以内毎
    C 50−100m3未満は30日以内毎
    に汚濁負荷量を測定すること。

 なお、規制は通常、都道府県単位で行われるものと聞いております。業者に対する許可などは、通常県レベルの許可業者でなければなりません。ただし、市町村の範囲を超えない場合は市町村の規制だけ満たせばよいケースもあるようで、とりあえず、規制団体によく確認しておくことが重要です。

3)汚泥処分の実際

水道事業の運営上,最も問題として重いのが浄水汚泥でしょう。浄水汚泥は,含水率の度合い(つまり脱水をどの程度までやるか)によって処分先,処分方法,あるいは再利用方法が概ね決まります。主要な廃棄方法は以下のとおりです。

 浄水汚泥は産業廃棄物として扱われるため,その処分は,汚泥処理プロセスのなかでも大きな問題です。もっとも,当法の適用を受けない場合でも,汚泥処理は積極的に取り組むべきであることに変わりはありません。このような状況から,汚泥の有効利用に関する研究などが盛んにおこなわれています。

  • 河川放流
     河川から流入した懸濁質(つまりはほとんどが泥)である)浄水汚泥はですから,河川に戻せばよい,と考えられていた時代がありましたが,現在ではこの方法は社会的に受容されなくなっております。条例で規制されたケース、起訴されたケースもあります。こっそりでもやってはいけません。
  • 場内処分
     これも昔は結構あった方法らしい...少量の場合などで場内の拡張用地などに積み上げてしまうやり方です。法的には土壌汚染の心配がないことを証明する手続きをすれば問題はないとの見解もあるようなんですが,こっそりやって非難を受ける例もあったようで...いつまでも続けられませんし。五月蠅い場合では,産業廃棄物処分場としての扱いを受け,浸出水防止工などの処置を要求される可能性もあるとのことです。
  • 搬出,汚泥として処分
     廃棄物運搬業者,廃棄物処理業者に委託して持ち出してもらい,処分場で処分してもらうケース。少量の場合などは有力ですが,処分費が最も嵩むのが難点。含水率を落として量を減らした方が処分費が安く済むケースもありますので、十分な検討を。
  • 自由にもっていってもらうケース
     山中の小さな水道などでは,そのまま土としてもっていってもらって使ってもらうような方法もあります。山間地の田圃の整備に使用されたり,農業用に利用されたりします。緩速ろ過池の汚泥は薬剤がはいっていない肥沃な土なので,雑草の種が入っていることを除けば,十分によい良い土です。関連して、加温して種を殺すなどの処理をして、園芸土として販売しているケースも。リサイクルのページを参照ください。
  • 再生財として処理し,有効利用してもらう方法
     埋立や盛土に使用する場合は,ケーキ含水率85%以下にすることが必要とされています。有効利用の用途には,農業用,土建材料,骨材,れんがなどが一般的ですが,溶融などの工程を経てさらに用途を広げる場合もあります。このあたりは環境対策関連(リサイクル)のページにもうすこしくわしくまとめました。

 なお,汚泥を処分する工法によっては,処分地に対して土壌汚染対策法の縛りがかかる場合がありますので十分に検討と規制の確認をすることが必要です。。

【備考】
協力−T次長様−ご協力ありがとうございました。m(_ _)m 法律関係はどうも難しくて...



目次

汚泥処分
 汚泥の処分,有効利用などについて。


備考・出典


更新履歴

  • 120815 新様式で作成。
  • 010930 汚泥処理から分離。


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