水道技術経営情報
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さまざまな水源 Variety of Resource

 水資源の融通について。非常に取り扱いの難しい問題なんですが...まあ載せてみましょう。

【参考】


水源の種類

(1)特殊な水源を利用する意味

 水源が需要に対して十分な能力を保持していれば,水源から需要者への供給の形態は単純でよいでしょう。しかし,水源能力が需要に対して十分確保できない場合には,本来は水道に適さない用途にまで良好な水源を充てることが難しくなります。

 このような場合においては,通常よりも特殊な処理を導入してこれを水源としたり,逆に用途に応じて雑用水のように水質的に劣る水を供給したりする余地が生まれます。

 ここで扱う水源はこのように,水資源の不足が著しい場合に検討する水源です。

【備考】


(2)汽水や海水 Sea Water

 汽水とは,海水と真水の混ざり合った水で,河口部などの感潮地帯に分布します。

 これらは以前は水道水源とは考えられなかったのですが,逆浸透の技術が進歩したことにによって,現実的な選択肢となってきました。島嶼部の小規模水道ではすでに一般的ですし,大規模なところでは沖縄の北谷浄水場や福岡市で計画中のプラントがあります。

 脱塩処理をするため,ほとんどの不純物は取り除かれますが,ホウ素など一部に残留する可能性のある物質もありますので,対応を研究されています。そして,どうしてもコスト高になってしまうのが普及しない最大の理由でしょう。もっとも,ダム開発及び補償と比べてトントンの場合もあります。

 詳しくは以下のページへどうぞ。

  • 海水淡水化
     水源開発のうち海水淡水化に関する情報について。

【備考】


(3)再利用水 Reuse Water

 下水処理水の水道水源利用は,渇水都市として有名な福岡市のアンケートにおいても実に95%が反対と回答しています(1990年代の調査でちと古いですが)。

 ただし,雑用水道は多くの人が賛成となっています。国内ではこのような事情からなかなか進めにくいのですが,海外では米国カリフォルニア州やイスラエルなどでは現実に行われています。最近では,シンガポールで進められているNEWaterプロジェクト(リンク切れ)が大変有名ですね。

 福岡市の調査によると,米国カリフォルニア州における下水処理水の再利用は,農業用(約60%),景観修景用水(約16%)地下水かん養(約14%,石灰によるアンモニア対策+活性炭+逆浸透),とのことで,このあたり工水利用が中心である日本とだいぶ様子が異なります。

 下水などの処理にはコストがかかりますが,通常,海水淡水化よりは安上がりです。下水による水道水源対策にはおおむね以下のようなメニューがあります。

分類 概要 事例,問題点
水資源化 水源地  水源地(山林や田地など)へ供給(散水等)を行う方法。 ★ 技術的にはもっとも有効と考えられますが,送水コストがかさむことや,これによって得られる水利権水量が不明確なため,一般に事業化しにくい特徴があります。
表流水  水利権を有する河川,ダム,ため池などに処理水を供給する方法。 ★★★ 5日以上程度日光にさらすのであれば現実的な方法です。現実に多くの水系で下水処理場が水源の上流にあるため,実用上の問題を生ずる可能性は低いものと思われます。
地下水  地下水に直接注入供給し,相当量分の取水を増やす方法。 ★★★ カリフォルニアなどで採用されています。過剰揚水による水質悪化を抑制しますが,いったん悪化した地下水水質は回復しにくいので,十分な処理と監視が必要です。
直接利用  十分に処理した水を浄水場に直接供給する方法。 ★ イスラエルで採用されている方法です。処理の効率はもっともよく,品質管理もやりやすいのですが,心理的には...日本で認められる可能性は低いでしょう。
間接利用 移転  他の水利(農業,工業,維持水量等)と水利権を交換する方法。 ★★★ 工水では水質によって用途を限定できるので現実的です。他用途でも水質条件をクリアできれば可能性はありますが,商品イメージの維持のために十分に配慮してください。
需要抑制 直接  中水道,雑用水道として再生水を供給し,水道利用を抑制する方法。 ★★ 日本では,福岡市において雑用水道が事業化され,2重配管が条例で義務づけられるなどしておりノウハウがあります。技術的には十分可能ですがコストはご覚悟を。
間接  親水,修景,散水として特定の用途に再生水を利用する方法。 ★ 下水道事業の一環として熱心に取り組まれているようで,指針や水質基準なども設定されています。ただ,住民サービスとしての事業で,水道としての効果はあまり見込めません。

 再利用については,排水利用に関する指針が国交省から出ています。また,再利用関係の技術開発を中心的に担っているのが造水促進センターです。

【備考】



目次

特殊な水源
 海水の淡水化下水処理水の再利用など。水道水源にはなりにくいのですが,渇水対策として。


備考・出典


更新履歴

  • 120814 新様式で作成。
  • 010509 概念図を追加。


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