水道技術経営情報
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有効率と有収率 Ratio

 配水の実態と収入の比率,有収率は,水道の経営上非常に重要な指標です。ただ,海外水道事業ではLeakage Rate=漏水率、もしくはNRWR(Non Revenue Water Ratio)、すなわち料金未徴収水率で管理するのが普通のようです。

【参考】


有効率・有収率

1)有効率、有収率とは

 有収率とは,給水する水量と料金として収入のあった水量との比率です。具体的には,下記の式で表されます。

  • 計画有収率=計画一日平均有効有収水量÷計画一日平均給水量

 有収率の高低は直接水道事業の経営に影響するので,これを高いレベルに維持することは水道事業者の責務であるといえましょう。

 また,有効率とは,給水する水量と有効水量との比率で,算出式は以下のとおりです。

  • 計画有効率=計画一日平均有効水量÷計画一日平均給水量

 有効水量とは,概念的には,有効に使用された水量を指し,需要者に給水された水量(有収水量,及び需要者にいきわたったがメーターの精度上計上されなかった水量(メーター不感水量),事業者の維持管理の都合上消費された水量(局事業用水量),公共の用途に無償で提供された水量などに分類されます。

 なお,無効水量(有効に使用されなかった水量)は,主として管路等の漏水や事故による逸失,赤水などによる供用不適水などが原因で発生します。

2)目標・計画値の設定では

 水道事業としてはロスが少ないにこしたことはないのですが、目標を100%とすると,これはほぼ実現不可能、もしくは巨大なコストをかけるわりには効果が薄いということになってしまいます。フェールセーフの概念からも不適当ですので,実績がいい場合でも計画値はほどほどにしましょう。

 現在では、大規模事業体は98%、中小規模事業体では95%が目標とするのが一般的なようです。これは、平成16年6月に公表された水道ビジョンに掲げられた目標です(たしか)。

 なお、水道ビジョンで目標が設定されるまでは、厚生省の通達「水道の漏水防止対策の強化について」(平成2年12月衛水第282号)では「有効率が90%未満の事業にあっては,早急に90%に達するよう漏水防止対策を進めること。また,現状の有効率が90%以上の事業にあっては,更に高い有効率の目標値を設定し,今後とも計画的な漏水防止に努めること。なお,この場合95%程度の目標値を設定することが望ましいものであること」とされていました。

 ただし。有効率のベースとなる有効水量とは、メーターで計測される有収水量に有効無収水量という見積りの水量を加算したもの。極論すれば、見積り方次第で操作できてしまう部分もなきにしもあらず、です。目標設定上はこのような「遊び」の部分があると便利なのは事実ですが、事業の効率を見極めるにあたっては、数字を丸のみにしない慎重さが必要であるといえるでしょう。

3)海外水道での扱いの違い

 海外水道事業ではLeakage Rate(漏水率)、もしくはNRW(Non RevenueWater)、すなわち無収水率(正式訳語未確認)で管理するのが普通です。

 漏水率は、定義的には浄水場から供給された水量と、末端で使用された水量の比率です。ただし、海外水道の場合、どちらの側にもメーターを設置しているとは限りませんし、そもそもメーターの精度も十分でないことはめずらしくありません。見積りの水量で計上されること、前述の有効無収水量の比ではないので、数字を使う前には、その水量をどうやって計測したのか確認することが絶対に必要です。

 また、NRWとはより経営的な視点から総括的に見た指標で、「料金として回収できなかった水量」です。つまり、ここには、「水を供給してメーターも通して請求もしたけども支払ってもらえなかった水量」も含まれます。日本でいうところの無収水量はNon Revenue earning Water と訳されていて、「料金請求に寄与しなかった水量」のニュアンスであり、「請求したけど支払ってもらえなかった」分をふくんでいないことに注意が必要です。我が国の水道は有収率を誇りますが、一度、料金徴収率を乗じて、NRWベースで比較してみる必要はありそうです。

【備考】
NRWの定義についてはやや確認が不十分。ご指摘お待ちしております。



目次

有効率・有収率
 配水量と有効に使用された水量,料金メーター検出量の比率です。


備考・出典

2001年5月の記事を見直し、NRW等に関する記述を追加しました。

更新履歴

  • 120813 新様式で作成。


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