水道技術経営情報
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経営診断 Management Consultaion

 水道事業の経営診断について簡単に紹介します。最近はこの関係の仕事が多いもんですから,あまり手をかけずに記事を増やせるかなと思いまして。

 なお,このページで紹介する経営診断手法を使った経営診断の例はトップページの「水道事業経営診断サービス」からオファーいただければ作成いたします。ご一考ください。

【参考】
 着手。本業の合間を見て少しずつ書き足すことにしましょう。


経営診断

1)経営診断とは

 経営診断に明確な定義や手法の定めがあるわけではありませんが,一般には水道事業等の経営状態を各種の財務手法から整理して,資産の状況や収支,効率などを数値で算出する過程を経て,水道事業の経営の方向性について提言する作業を言います。

 水道事業は通常地方公営企業法の全適事業ですから,会計データは概ね完全なものが容易に入手可能です。これだけでも事業の状況が相当わかりますが,さらにその事業の背景(いわゆるコンテクスト)をどの程度加味できるかが,経営診断のスキルといえるでしょう。

2)経営診断の意味

 もっとも簡易な経営診断は,地方公営企業年鑑等を利用して,財務データを数年程度用意し,その数値をヤードスティック(他の事業体と比較してどうかを判断)と時系列(時間の経過によってどのように変化したかを判断)で分析する方法です。

 ここで得た数値を参考に,事業のコンテクストについて分析を加えることで,事業のおかれた状況が相当把握できます。

 さらに,この結果は,高度な経営改善策の基本的な方向性を立案するための,重要な基本情報となります。たとえば,財政的に厳しい事業体が,料金を上げるべきか,職員を削減すべきか,水源を削減すべきか,投資を抑制すべきか,民活を利用すべきか,など,どの問題が相対的に大きいかを判断することで,方針の方向性を把握したり,シミュレートすることができるのです。

3)経営診断の内容

 財務関係の指標については総務省が紹介していますので,これは参考になります。

  • 地方公営企業制度の企画立案(リンク切れ)@【総務省】
     水道,工水等の経営指標を中心に紹介されています。

 ただ,ここに掲載された内容はあくまでも数値であり,その数値をどのように組み合わせて判断するのかが重要です。これについては別にどこかに規定などがあるわけではないので,これは各コンサルがそれぞれの技術力を背景に,分析方法を開発することになります。私が所属したNJSでは,現時点のバージョンではおおよそ以下のようなメニューで簡易診断を行っていました。

  1. 事業の状況。事業体が今後発展するのか縮小するのか,施設の内訳にどのような特徴があるか,需要者の水の使い方にはどのような特徴があるかなどの背景を確認。
  2. 資産の状況と維持管理。資産の維持状態を財務統計データより分析。適切に更新がなされているかなどを判断。
  3. 経営と資金。資金手当ては適切か,収支がとれているかなど。経営が短期的,長期的に継続できるだけの戦略性を有しているかど確認。
  4. 事業の特性と効率。料金や職員など,事業の効率や特性を財務関係他,PIなどを活用して判断。

 なお,問題が見つかった場合はさらにその解決策を探るための調査を行います。

4)経営診断の経験から

 経営診断の経験は私自身はそれほど十分豊富とはいえませんが,作業自体はそれほど複雑でもないので,すでに300箇所以上(2019年現在)の診断をやってます。この経緯でそれなりに発見があったので簡単に紹介しますと...

  • 実感として,地域ごと(たとえば北陸は北陸風,山陰は山陰型,といった按配)に特徴がある。
  • 隣接している事業同士で似ているケースが以外に多い。
  • 一般会計などからの補填は形はいろいろであるが相当の事業で実施されている。純利益を上回る場合もある模様。
  • 財政状況が厳しい事業体の理由はそれぞれであるが,経営の結果はかなり似ている。職員数の削減等,現場にしわ寄せが行っているケースが多い。

 これらについては今後,もっと詳しく研究してみたいと思ってます。



目次

経営診断
 水道事業の経営状態はどのように診断するのか,簡単に紹介します。


備考・出典


更新履歴

  • 191205 経営診断経験数更新
  • 120626 新様式で作成


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