水道技術経営情報
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160414 平成28年熊本地震 2016 Kumamoto Earthquakes

災害の概要

  • 場所 熊本県を震源とした九州一円
  • 時期 2016年4月14日前震、16日本震、ほぼ収束までおよそ1年半。2018年8月現在で、避難指示がまだ解除されてない関係で、未復旧の地区あり。
  • 分類 地震

 平成28年4月14日にM6.5の前震が発生。16日に、M7.3の本震が発生。熊本県を中心に34市町村、445,857戸で断水。

日時 水道被害 対応状況
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  • 益城町 13,400戸
  • 熊本、佐賀、長崎、宮崎の各県の計約40万戸で断水。
  • 【前震】
  • 熊本県災害対策本部設置。
  • 政府非常災害対策本部設置。
  • 日水協救援対策本部立ち上げ。
  • 熊本県、自衛隊へ災害派遣要請。
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  • 日水協熊本県支部から応急給水車の派遣要請。九州地方支部で対応。
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  • 熊本県 43万戸
  • 大分県 1万戸
  • 宮崎県 100戸
  • 福岡県 2,500戸
  • 長崎県 50戸
  • 佐賀県 10戸
  • 鹿児島県 250戸
  • 【本震】
  • 【最大被害】
  • 日水協九州地方支部より応急給水車の派遣要請。中四国、関西、中部地方支部で対応。
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  • 熊本県 25万戸
  • 大分県 1,000戸
  • 宮崎県 100戸
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  • 熊本県 16万戸
  • 大分県 1,000戸
  • 宮崎県 100戸
  • 全国の水道事業者より84台の給水車派遣。
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  • 熊本県 44,000戸
  • 大分県 1,000戸
  • 宮崎県 100戸
  • 熊本県熊本市、全326,000戸中、325,000戸に試験給水し、漏水確認。
  • 熊本県山都町に水資源機構、浄水装置設置。
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  • 熊本県 44,000戸
  • 大分県 1,000戸
  • 宮崎県 100戸
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  • 熊本県 34,000戸
  • 大分県 1,000戸
  • 宮崎県 100戸
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  • 熊本県 16,393戸
  • 宮崎県 100戸
  • 事業体給水車102台応急給水。
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  • 熊本県 14,617戸
  • 宮崎県 100戸
  • 事業体給水車105台応急給水。
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  • 熊本県 13,076戸
  • 宮崎県 100戸
  • 事業体給水車94台応急給水。
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  • 熊本県 11,943戸
  • 宮崎県 100戸
  • 事業体給水車88台応急給水。
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  • 熊本県 5,849戸
  • 宮崎県 100戸
  • 事業体給水車54台応急給水。
160504
  • 熊本県 4,885戸(家屋損壊地域4,070戸除く)
  • 事業体給水車19台応急給水。
160505
  • 熊本県 3,898戸(家屋損壊地域4,050戸除く)
  • 事業体給水車10台応急給水。
160509
  • 熊本県 1,406戸(家屋損壊地域4,050戸除く)
  • 事業体給水車13台応急給水。
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  • 熊本県 816戸(家屋損壊地域4,050戸除く)
  • 事業体給水車12台応急給水。
160512
  • 熊本県 670戸(家屋損壊地域3,080戸除く)
  • 事業体給水車11台応急給水。
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  • 熊本県 361戸(家屋損壊地域1,885戸除く)
  • 事業体給水車11台応急給水。
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  • 熊本県 361戸(家屋損壊地域1,690戸除く)
  • 事業体給水車11台応急給水。
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  • 熊本県 241戸(家屋損壊地域1,525戸除く)
  • 事業体給水車11台応急給水。
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  • 熊本県 126戸(家屋損壊地域1,137戸除く)
  • 事業体給水車10台応急給水。
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  • 熊本県 83戸(家屋損壊地域890戸除く)
  • 事業体給水車6台応急給水。
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  • 熊本県 75戸(家屋損壊地域880戸除く)
  • 事業体給水車6台応急給水。
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  • 熊本県 33戸(家屋損壊地域880戸除く)
  • 事業体給水車3台応急給水。
160616
  • 熊本県 2戸(家屋損壊地域730戸除く)
  • 事業体給水車2台応急給水。
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  • 熊本県 0戸(家屋損壊地域450戸除く)
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  • 南阿蘇村長期避難解除。
  • 南阿蘇村家屋損壊地域 27戸
  • 御船町家屋損壊地域 98戸

被害の状況

水道が受けた被害

  • 熊本市で全96本の取水井の濁度が上昇他、水源の濁度上昇複数、井戸の枯渇や揚水量の減少で、代替水源の確保に苦慮したところも。
  • 熊本市や南阿蘇村で配水場のステンレスタンク等、100以上の施設で被害。
  • 南阿蘇村で阿蘇大橋が添架管とともに崩落したのをはじめ、断層発生箇所や斜面崩落個所を中心に、基幹管路を含め管路に多数の被害。

水道による二次被害

  • なし

対応と対策

平時の備え

  • 震災発生直後、災害対策室における作業分担が手さぐり状態であり、災害対策マニュアルが活かされなかった。
  • 応援職員が、水道管の配管図面ももらえず、地域による材料や修繕方法の違いで作業効率がなかなか上がらなかったと、自治体の災害対策に「役割分担のマニュアルが必須」と指摘。

応急対策

  • 熊本市市長が水道の漏水箇所情報提供呼びかけ等にTwitterを活用。
  • 住民からの通報には重複があり、他業者が作業中、あるいは修理済のところに、修理に行ってしまったケースもあった。
  • 「数多くの施設を抱えることから被害の状況確認や応急復旧でマンパワーが不足」(熊本市維持管理部長談)
  • 外部組織から迅速な支援が行われたが、応援事業体の宿泊場所、作業スペース(会議室) の確保やパソコン・プリンターの手配が困難。残土置き場や材料置き場の確保も難航。
  • 他市が仮設配管で修理したところには、受入れ都市への相談・報告がなく、引継ぎが上手くできていないケースもあった。

抜本対策

 熊本市の場合、熊本市上下水道局「復興記録詩」に記載された対策は以下のとおり。
  • 水融通管や補給水管の整備によるリスク分散。
  • 情報を一元化し、市民等に向け分かりやすい情報の発信を行なう。
  • 問い合わせ対応に関し、職員は関係団体等のマネジメントに徹し、できる限り迅速にアウトソーシングを取り入れる。
  • 指定避難所にある既設の貯水機能付給水管を有効に活用する。
  • 市内全域を視野に入れた給水拠点を整備する。
  • 応急給水活動の指揮管理について、区ごとにリーダー都市を配置し、一任する。
  • 全国の管工事組合や地元の関係団体と協定を結ぶ。
  • 支援受け入れに関するシミュレーションを平時から行なう。
  • 被災状況の調査方針を明確にし、判断基準等は事前に整理しておく。
  • 関係機関との協定を事前に締結し、スムーズに調査を行なうことのできる体制を構築する。

教訓

  • 実務にあったマニュアルが必要。
  • 厚労省の調査で、指揮命令系統や情報連絡体制の確立、危険箇所における作業方法等を含めた修繕マニュアルなど各種マニュアルの整備、発災時に実効性を発揮するための訓練・教育が求められるとの評価。
  • 厚労省の調査で、執務スペース・補修材料・補修器材・宿泊先・駐車場の確保など、応援活動が円滑に行えることを考慮した受援体制の整備が求められるとの評価。
  • 厚労省の調査で、災害時における摂取制限を伴う給水継続の判断の目安や住民への広報の手法などについて、整理する必要があるとの評価。
  • 水源枯渇時にも給水を確保するため、水源の複数化などについて検討することも必要。
  • 厚労省の調査で、断層のあるところには施設を作らず、やむをえず作る場合は、断層変位に対応できる可とう継手の設置等の対策を講じる必要があるとの評価。
  • ステンレスタンクの被害原因を解明するとともに、統一的な耐震設計法の確立に向けた検討が必要。
  • 基幹管路や重要拠点給水管路の耐震化やバックアップが必要。
  • 断層横断も想定して被害を抑制する対策を講じる必要。
  • 空気弁の被害が多く、付属設備を含む管路システム全体で耐震化が必要。

災害データベース


備考・出典

更新履歴

  • 180824 作成。

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