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フェノール類 Phenols

 各物質に関する情報をとりまとめたコーナーです。片っ端から集めた情報を載せる予定です。


水道への影響

1)水質基準項目

【基準項目】 0.005mg/L以下

 フェノール類とは,フェノールだけでなく,ベンゼン環(亀の甲)やナフタレン環,その他の芳香族有機物の水素原子のうち少なくともひとつが水酸基(OH)に置換したものの総量を,最も単純な形であるフェノール(ベンゼン環=C6H6のHがOHに置換した,C6H5OH)で換算したものです。

 白状します。私,フェノールそのものを測るもんだと思ってました。

2)毒性や障害

 フェノール類の基準は実は毒性とは関係なく,フェノールと消毒塩素が反応して発生するクロロフェノールが非常に強い臭気(フェノールそのものの300−500倍とも)を発するため,臭気を発生しない経験的値から設定された数字だそうです。

 実際の毒性については,直接フェノールと接触した場合の情報がほとんどです。が,下水の放流水や環境基準は5mg/Lですから,毒性だけでみればそんなにきつい物質とも言えます。

 急性毒性は中枢神経に親和性,さらに大量になると消化器系の粘膜に炎症。発がん性は少し旧い資料ではIARC2Bでしたが,もっとも新しいデータではIARCで3,すなわちヒトに対して分類できない,ということのようです。計算ミスに気づいて(はずかしー),いくつかのデータベースを調べなおしましたが,もっとも詳しい情報を取り出せたのはこのページでした。有害化学物質についてはメーンページを参照してください。

3)汚染原因

  1. 工場からの混入
  2. なんにせよ混入

 工業原料として非常にポピュラーですし,そのままでも消毒剤や防腐剤として使用されます。現在では水道原水中に含まれることはめったにないですが,昭和50年代までは,事故や工場からの排出で水道への被害が散見されたそうです。

4)処理方法

 水相からの除去法としては活性炭ろ過が推奨されます。ただ,通常の臭気(2-MIBなど)と比べてかなり破過が早く,コストパフォーマンスはかなり悪い処理になります。

 むしろ,原水への混入の原因を探し,垂れ流さないようにしてもらう方が早いかもしれません。地下水から出るようではもう自前でなんとかするしかありませんが。

5)検出方法

 吸光光度法が水道公定法です。


特記事項

 信楽の事件は一体なんだったんでしょうか。犯罪?事故?それとも...とりあえず報道をとりまとめました。

【参考】



目次 

水道への影響
 基準,毒性や障害,汚染源,対処法,検出法について。水道としての視点からとりまとめました。

特記事項
 当該物質に関連した情報について集めたものを掲載。


備考・出典

  • 信楽の事件を受けてフェノール類のページを新設。フェノール処理は実務経験はないので調査結果です。
  • 水道水質ハンドブック上水試験法などを参考に記述しました。

更新履歴

  • 121004 新様式で作成。
  • 111122 化学物質安全情報提供システム@神奈川県環境科学センター:リンク先変更


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