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ランゲリア指数 Langelier's Index

 各物質に関する情報をとりまとめたコーナーです。片っ端から集めた情報を載せる予定です。


水道への影響

1)水質基準項目

 【快適水質項目における目標値】 -1.0程度以上とし,極力0に近づける。

2)毒性や障害

 ランゲリア指数(飽和指数)とは,水の実際のpH値と理論的pH値(pHs:水中の炭酸カルシウムが溶解も析出もしない平衡状態にある時のpH値)との差のことで,炭酸カルシウムの被膜(スケール)の形成のされやすさの目安となるものです。ランゲリア指数が正の値で絶対値が大きいほど炭酸カルシウムの析出が起こりやすく,ゼロであれば平衡状態にあり,負の値では炭酸カルシウムの被膜は形成さないことを示します。また,その絶対値が大きくなるほど水の腐食傾向が強くなります。

 スケールは,特にボイラーの熱交換器の細管や薬缶などの内面にこびりつき,機器故障の原因になるなどのデメリットを示すものです。また,腐食障害には以下に示すものが挙げられます。

  1. 鉄管からの鉄錆による広範囲な赤水の発生
  2. 錆こぶ中の細菌や原生動物の繁殖
  3. 亜鉛めっき鋼管からの亜鉛・鉄の溶出,銅管からの銅の溶出,鉛管からの鉛 溶出等による水道水の水質劣化
  4. コンクリート構造物,モルタルライニング管,石綿管等の劣化(水の硬度が40r/L程度以下ではコンクリート中のCaが溶出,浸食性遊離炭酸の場合はCa, Mgを重炭酸塩として溶出)
  5. 配水施設や給水装置の腐食による耐用年数の短縮
  6. 漏水による水資源の損失,経済的損失。

3)汚染原因

 わが国の水道水のランゲリア指数の範囲は,-4.0〜-2.0程度と推定され,世界的に見ると腐食性が強いそうです。その原因は一般に地質に起因し,軟水であることによるといわれます。水の腐食性を高める水質としては以下に示すものが挙げられます。

  1. pH値の低い水
  2. 遊離炭酸の多い水
  3. アルカリ度(緩衝性)の少ない水
  4. カルシウム硬度の低い水
  5. 残留塩素の多い水
  6. 溶存酸素の多い水
  7. 硫酸イオンの多い水
  8. 溶解性物質の多い水

4)処理方法

 フロック形成後にアルカリ剤を投入してpHを調整する。特に,消石灰使用が効果的とされます。

5)検出方法

 ランゲリア指数の算出方法には,水道公定法による算出方法と簡便計算法(ノーデル法)による算出方法があります。

●水道公定法

 (省略)すみません。式を表示するためにいろいろ工夫が必要なので。簡便計算法をどうぞ。

●簡便計算法(ノーデル法)

 水温,pH値,カルシウム硬度,総アルカリ度及び溶解性物質を測定し,pHs算定表から各測定値に該当する数値(A値〜D値)を用い,次式によりpHsを求め,ランゲリア指数を算出する。

ランゲリア指数 = 水のpH値 − pHs値
pHs値=(9.3+A値+B値)−(C値+D値)

 ただし,

 A値:蒸発残留物の濃度により定まる値
 B値:水温により定まる値
 C値:カルシウム硬度により定まる値
 D値:総アルカリ度により定まる値

蒸発残留物(r/L) A 値
50〜 300 0.1
400〜1,000 0.2
カルシウム硬度(r/L) C 値
10 〜11 0.6
12 〜13 0.7
14 〜17 0.8
18 〜22 0.9
23 〜27 1.0
28 〜34 1.1
35 〜43 1.2
44 〜55 1.3
56 〜69 1.4
70 〜87 1.5
88 〜110 1.6
111〜138 1.7
139〜174 1.8
175〜220 1.9
230〜270 2.0
280〜340 2.1
350〜430 2.2
440〜550 2.3
560〜690 2.4
700〜870 2.5
800〜1,000 2.6
アルカリ度 (r/L) D 値
10 〜11 1.0
12 〜13 1.1
14 〜17 1.2
18 〜22 1.3
23 〜27 1.4
28 〜35 1.5
36 〜44 1.6
45 〜55 1.7
56 〜69 1.8
70 〜88 1.9
89 〜110 2.0
111〜139 2.1
140〜176 2.2
177〜220 2.3
230〜270 2.4
280〜350 2.5
360〜440 2.6
450〜550 2.7
560〜690 2.8
700〜880 2.9
890〜1,000 3.0
水温 °C B 値
0〜1 2.6
2〜6 2.5
7〜9 2.4
10〜 13 2.3
14〜 17 2.2
18〜 21 2.1
22〜 27 2.0
28〜 31 1.9
32〜 37 1.8
38〜 43 1.7
44〜 50 1.6
51〜 56 1.5
57〜 63 1.4
64〜 71 1.3
72〜 81 1.2

【参考】


特記事項

1)リン酸による改善

 リン酸塩添加によるLIの改善手法が海外などでは導入されているとのことです。リン酸塩は防錆剤だそうで,鉛管の溶出を抑制するなどの効果を狙って投入されることもあるようです。が...詳しいことはよく知りません。

【備考】



目次 

水道への影響
 基準,毒性や障害,汚染源,対処法,検出法について。水道としての視点からとりまとめました。

特記事項
 当該物質に関連した情報について集めたものを掲載。


備考・出典


更新履歴

  • 121003 新様式で作成。
  • 110515  改行ずれによる誤記修正


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