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塩素 Chloride

 ここでは塩素イオン,遊離塩素について扱います。塩素イオンは,最もポピュラーなハロゲンイオンの一つで工業にも多用されますが,水道分野では消毒に使用すること,塩味の条件が有名です。


塩素

(1)塩素

1)水質基準

  • 塩素イオン
     200mg/L以下であること。これは,200〜300mg/Lを超えて含まれると,水の塩味を感じるため。
  • 遊離残留塩素
     水道水中で遊離塩素が 0.1mg/L以上残留すること。快適水質基準として,1.0mg/L以下であること。

2)毒性

 塩素や消毒副生物の毒性は,一般需要者の不安のもっとも大きいところでもあり,また商業ベースの宣伝などでもっとも煽られている点と思われます。

 塩素は劇物ですが,通常水道水で使用されるレベルにおいては塩素系の薬剤による人体への直接の影響は無視できる程度と認識しております。水質基準は0.1mg/L以上の残留で,通常多くても1.0mg/L程度以下ですが,残留塩素32mg/Lの水を2ヶ月飲みつづけても悪影響は生じなかったとの報告があるそうです。また,その有効性ですが,水系伝染病を防ぐという水道の目的からいえば,このレベルで十分な有効性があると考えられます。

 ただし,魚類はエラが損傷を受けるので,2.0〜0.2mg/Lで致死量になります。(水道水質ハンドブック p323)

 また,塩素だけであれば,意外に臭いません。しかし,アンモニアと反応してクロラミン臭,フェノールと反応してクロロフェノール臭,などというように,他の物質と反応して強い消毒臭を発します。

3)塩素の使用

 消毒処理としてみた場合の塩素消毒に関する情報はこちらへどうぞ。

  • 塩素消毒
     塩素消毒は水道でもっともポピュラーな消毒処理です。消毒処理としてみた場合の塩素処理について。

4)塩素の検出

 そういえば最近公定法が改訂されたっけ...工事しますのでしばらくお待ちを...(待ってたらいつになるかわからんが)

【備考】


(2)遊離残留塩素 Free Residual Chlorine

 塩素剤の薄い溶液では,pH値に応じて塩素Cl2,次亜塩素酸HClO,次亜塩素酸イオンClO-が平衡状態を保って存在するとされています。各物質は濃度分布に従い,pH4以下では塩素と次亜塩素酸,pH4−5ではほとんど次亜塩素酸,pH5−10では次亜塩素酸と次亜塩素酸イオン,pH10以上ではほとんどが次亜塩素酸イオンとして存在します。これらの形で水中に存在する有効塩素を遊離残留塩素といいます。

 塩素はまた,水中に存在するアンモニアイオンと反応してクロラミンを生成します。クロラミンにも消毒能力がありますので,クロラミン自体に注目した消毒法も存在します。クロラミンの形で残留する有効塩素を結合残留塩素といい,遊離残留塩素とあわせて全塩素といいます。

【備考】


(3)カルキ

 カルキとは元来はさらし粉,塩素化石灰のことで,固形漂白剤の一種ですが,一般的には消毒剤の代名詞のような使い方をされています。さらし粉は以下の反応で塩素を生成し,この塩素が消毒効果を担います。ただし,消毒剤としては不安定ですので,水道など定常的に使用するような施設ではほぼ使われません。

 2Cl2+2Ca(OH)2 ←→ CaCl2・Ca(OCl)2・2H2O

【備考】


(4)塩素酸

1)水質基準

  • 0.6mg/l以下であること。

2)概要等

 いくつかのリスクルートがあるようですが,水道で一番問題になる可能性が高いのは,水道の消毒に使用する次亜塩素散ソーダが時間経過により劣化して発生するケースのようです。水道水中の規制値が厳しくなったために、規制を遵守することが困難となる事例が増え、どうすればよいのか、という声が上がったことがあります。

 劣化を防ぐためには、製造して早めに使い切るか、タンク内で劣化しにくいようにする方法が有力です。

【備考】
 090704追記,とりあえず仮置き。



目次 

塩素
 塩素に関する情報と遊離塩素の解説。塩素消毒については浄水の項目へ(この項目の中から飛べます)


備考・出典


更新履歴

  • 120913 新様式で作成。
  • 010527 遊離塩素の定義を追加。


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