水道技術経営情報  コンサルタントの水道技術経営パートナーズが運営する、水道技術や経営の情報サイト「狸の水呑場」へようこそ。お問い合わせはこちらへ。
Powered byGoogle

ホウ素 Boron

 各物質に関する情報をとりまとめたコーナーです。片っ端から集めた情報を載せる予定です。


水道への影響

1)水質基準項目

【監視項目】 0.2mg/L以下。

 【毒性】 人体必須元素。高濃度のものに接触した場合に血圧低下,ショック症状,中枢神経抑制による呼吸停止。長期的摂取の場合に食欲不振,悪心,嘔吐,皮膚症状など。

2)毒性や障害

 人体必須元素です。高濃度のものに接触した場合に血圧低下,ショック症状,中枢神経抑制による呼吸停止。長期的摂取の場合に食欲不振,悪心,嘔吐,皮膚症状など。ただ,ホウ素が原因の健康被害なんてのは聞いたことないですけど。

3)汚染原因

  1. 金属表面処理(脱酸素剤),ガラス,エナメル工場などからの排水。シリコン半導体のドーブング剤
  2. 火山帯地下水(温泉中のメタホウ酸)
  3. 汽水域(海水)

 天然には単体の形で存在せず,ほう酸またはほう酸塩の形で鉱物として広く分布します。工場起源の場合は工場に対処を要求できますが,地質や海水起源の場合が厄介です。特に,海水淡水化のなどで効果的に除去できないケースが多く,海水淡水化処理において対応が検討されています。

4)処理方法

  • イオン交換樹脂法
     以前問い合せた時点(99年頃)は,ホウ素を選択吸着するイオン交換樹脂は現在開発されていないとの回答でしたが,情報提供いただいたところでは,一部メーカーよりホウ素除去用の樹脂が開発され販売されているとのことでした。また,(株)クボタさんが廃棄物処分場浸出水処理装置として,「ホウ素吸着塔」+「ホウ素再生廃液処理設備」を納入した実績があるとも伺っております。
     ただ,上水利用が可能かどうか(上水処理用としての溶出試験をしているか,上水レベルの濃度で使用できるか,コスト的に見合うか,など)については確認しておりません。
     通常のイオン交換樹脂を使用すると,ホウ素以外のイオン,特に硫酸根などが優先的に吸着されるほか,生産水が純水に近くなるため,他の浄水とブレンドするなどの処置が必要かと考えられます。
  • 逆浸透膜(RO膜)を使用する方法
     海水淡水化プロセスなどで残留ホウ素の問題が指摘されるように,他の蒸発残留物が混在していると,ホウ素の除去率が低くなる可能性があります。ルーズRO膜,RO膜の2段処理も考えられるが,処理コストが高騰する危険性が高いのでなかなか採用はできないでしょう。

 いずれも,実験により実用性を検証する意義は認められますが,配水施設の整備を通じて他の水源との混合によりホウ素濃度を希釈する対策も考えられます。(それくらい厄介な項目です...)水源に余裕があるのであれば,水源を破棄することも選択肢と考えてください。

5)検出方法

 ICP吸光光度計など。


特記事項

1)海水淡水化

 ホウ素については,海水淡水化処理における逆浸透膜で十分に除去できないことがある点が注目されているそうです。まあ,2段で逆浸透をかけりゃ大丈夫だそうですが...金かかりそ。

【参考】



目次 

水道への影響
 基準,毒性や障害,汚染源,対処法,検出法について。水道としての視点からとりまとめました。

特記事項
 当該物質に関連した情報について集めたものを掲載。


備考・出典


更新履歴

  • 120913 新様式で作成。
  • 111114 ジェイ・オー・クリエイト→オルガノ
  • 011031 ホウ素を選択的に除去できるイオン交換樹脂についての情報をいただきましたので,記載内容を修正しました。


WaterPartnersJP all rights reserved >>index >Top