水道技術経営情報
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技術管理 Engineering Management

 平成13年度より,技術士の部門に「総合技術監理部門」が新設されることになりました。すべての技術分野にまたがる部門ではありますが,単独で意味がある部門ではなく,それぞれの専門分野においてエンジニアリング,マネジメントを行うための基礎的な能力を問う部門と思われます。

 何の因果か私めも受験することになりました。よって,試験までのしばらくの間,この関係のページを中心に作業しました。受験料を1万ウン千円払ってるんでなるべく受験回数を減らしたいですし...ただ,単純に単語を覚えるお勉強ではまったく意味がありません。よって,水道技術との絡みを中心に,具体的に検討してみたつもりです。

 もう一点,私は物覚えが悪いので,自分が把握しやすいよう勝手に省略したりしてます。言葉についてはあんまし信用しないでね。(^_^)ゞ

【参考】
 「技術士制度における総合技術監理部門の技術体系」日本技術士会...様々な分野にまたがる部門であるということは,裏返せば明確な技術体系がないということではないかという指摘があります。このため,この本がないと,どのような分野を対象にしているのかすら分かりません...必携です。まずはこの本で体系化されている内容を骨格にすえました。あと,実体験やイメージトレーニング,日経ビジネスの記字とかを切りぬいて蓄積していたのが役に立ちそうです。


 総合技術監理の根本には,今日におけるの技術的なアプローチが様々な技術分野にまたがって相互に影響しあうようになってきたうえ,事故防止や環境負荷低減などの社会に与える影響にも考慮するなど,高い倫理観は必要になってきた現状があります。

 経済性管理,人的資源管理,情報管理,安全性管理,社会環境管理,の5つのタームに分類整理されていますが,その根本原理としてリスクマネジメント(そのまま総合監理技術と訳されるの概念があります。

 また,この技術体系が部門化された背景には,国際的な技術者の相互承認に関する流れがあります。関連の情報としてISO関係の経緯を少しだけ(よそ様のサイトですが)

【備考】


経済性管理

 限られた資源(入力=4M)で最大の効果(出力=PQCDSM)を得るための調整管理に関する技術です。

 キーワード:管理=事業企画,事業計画,品質管理,工程管理,原価管理(コスト管理),設備管理,計画・管理の数理的手法

1)事業の企画(基本計画)

 事業の目的や規模を明確化する段階。一般分野ではフィージビリティスタディ(FS),水道事業では基本構想から基本計画,認可申請までがこれにあたりますが,100%経済性のみでは判断されない特殊性から実施の決定は基本構想レベルで行われるのが普通です。

  • 計画段階
     基本構想・基本計画,認可設計などについてはこちら。

 事業の実施決定をうけ,生産計画が行われます。現在の水道界では,この部分に対するコンサルタントの関与は限定的ですが,今後はより重要になっていくことが予想されます。

  • 総合生産計画APP Aggregate Production Planning)
     大日程計画の別名があり,6−18ヶ月程度の期間で需要の変動に対応,もしくは需要を平滑化して生産量を調整する計画です。コストの最小化や雇用の適性化が主たる目的です。水道界では,たとえば季節的な水源枯渇・水質変動への対応,節水のよびかけなどが相当します。
  • MPS (Master Production Schedule)とMRP (Material Requirement Planning)
     APPを実行するための作業単位ごとの日程作成をMPS,資材調達をMRPとするようで,ダム制御や薬注計画,汚泥処分など個別の作業がMPSに,また薬品や資材の調達作業がMRPに相当するようです。在庫の縮小や資材の適性な融通によるムダの排除がその目的ですので,近頃はやりの3文字言葉が氾濫してます。
  • 工事管理・工程管理
     仮設,工程,予算,安全,工法,の5つに整理されます。説明は不要でしょ(^o^)

2)品質管理

 品質管理の概念は日本で発展したそうで,TQC (Total Quality Control),最近ではTQM (Total Quality Management)という呼称がついています。TQMには,選定/理由/現状=解析=対策=確認+標準+反省のステップがあり,これをQCストーリーというそうです。また,QCを行うためにはQC7つ道具(層別図,パレート図,樹枝図/度数分布図,散布図,工程管理図/チェックリスト)と俗称される分析方法を駆使するのが一般的です。

 品質管理は,計画>管理>保証>改善の4つのパートで整理されます。水道の品質は水量,水質,水圧,の3つですが,その利用用途が健康に直接影響することから国が関与する形で行われてきたことと,競争が基本的に発生しにくい事情から,製品の品質に関するQCは比較的甘いようにも思います。

  • 製品安全とPL (Product Liability)
     製品安全とは,「どんな人がどんな使い方をしても事故を起こさない製品」を目指すもので,製品にフールプルーフを求めるものと言えましょうか。SGマーク(製品安全補償協会,保険制度あり)とPSマーク(政令指定,認定のないものの販売禁止)が目安として定められています。
     PLとは,万一事故が発生した場合に,「製品の過失と損失の因果関係」を照明すれば,生産者が補償する責任を負わせるものです。

3)工程管理(施工管理)

 生産の時間的側面,納期の遵守を目的とし,時間の短縮や効率化を図るものです。事業の企画を受け,実際上の「作業」(生産活動の最小単位)や,その組み合わせたる「手順」(生産活動を行うための作業順序)をコントロールすることがその中心になります。主として以下のような単位で構成されます。

  1. 手順計画(作業や資材調達の手順の明示)
  2. 負荷計画(需要変動への生産対応,人員労務調整)
  3. 日程計画(中−小日程,フォワード/バックワードスケジューリング)
  4. 進行管理・進捗管理(作業手配と実績管理,POPシステムによるJust in time 方式など)

4)原価管理(コスト管理)

 財務諸表などによってコストとして把握される経営資源の消費を管理することで,理想標準(Goal),正常標準(Standard),現実的標準,のうち適当な標準原価を選定してこれを予定原価とします。ABM (Activity Based Coasting /Management)のような手法により,消費する時間,コスト,リソースなど(コストドライバ)を作業単位(アクティビティ)に分解し,製品ごとに発生した原価を把握する手法も採用されはじめていますし,最近では企画・設計段階での原価管理,すなわち原価企画の重要性が広く認識されるようになってきています。

 水道事業の場合,施工をはじめてからのフィードバックが設計施工分離によって効き難い分,フィードフォワードによって設計時点における原価低減−工事費や維持管理費の低減−を図ることが重要で,これにかかわるコンサルタントの責任は大きいものと思います。

5)設備管理(施設維持管理)

 設備の生産性を高めるための概念で,水道では通常「維持管理」と呼ぶものです。信頼性(壊れない),保全性(壊れても治せる),経済性(安く運営できる),3つの要素から構成され,ひっくるめて「設備の管理特性」と名づけられてます。計画と保全の両方の段階を総合的に取り扱うことによってこれを高めることができ,民営化の概念の大きな支柱にもなっています。

  • 設備投資
     取替投資(施設更新事業),拡張投資(増補改良事業),製品投資(改良や新浄水施設の導入),戦略的投資などがあり,水道では前の3つのウェイトが多いようですが,今後は,他事業や関連の商品との競争,環境対策や福利厚生などのための戦略的投資も必要になるでしょう。なお,投資期間は長期になることが多いため,複利計算で価値を算出します。
  • 経済性比較の手法
     資金回収期間法(年),原価比較法(円),投資利益率法(投資額に対する%)などの手法で比較します。
  • 保全
     設備保全(Productive Maintenance)は,予防保全,改良保全,事後保全,保全予防(Maintenance Prevention),の4種に整理されています。水道における地震対策でたとえると,予防保全(平時,日常の漏水防止),改良保全(平時,現有施設の耐震化),事後保全(直後,直後の復旧作業),保全予防(平時/事後,設計時の耐震化)が相当します。
  • 地震対策
     保全の種類の事例として参考になります。
  • TPM (Total Product Maintenance)
     「全員参加の生産保全」として,経営者から現場までの全員が保全に取り組むスタイルを呼びます。階層軸(経営者から現場まで),生涯過程軸(設計から生産,保全まで),保全活動軸(絶対/相対劣化の防止,測定,回復)で整理されています。

6)計画・管理の数理的手法

 OR (Operations Research)とは,数理的な手法を用いた合理的経営手法の研究の総称で,水道屋さんなら「土木計画学」などで学んだ内容が中心になっていると考えていいでしょう。実作業は大体わかりますが,横文字で略されるともう忘れてますからなんとも...ということで,キーワードを整理列挙しておきます。

  • PERT (Program Evaluation and Review Technique)
     ガントチャート(工程流れ図=工程に必要な時間を通常横棒積上げグラフで積み重ねたもの)による工程管理を1歩進め,矢印によるフロー図を作成,クリティカルパス(時間余裕のない作業工程)を縮めるために必要なコストを把握しながら工期の短縮を図る手法です。土木分野でも工程管理によく用いられます。
  • シミュレーション
     事象を表現できるモデルを構築,様々なシチュエーションを入力して出力としての結果を得る手法。顧客対応のように入力が連続でない離散型シミュレーションと,自然現象や工学分析を扱う連続型シミュレーションがあり,反復計算を行うため通常はコンピュータの力を借ります。管網計算もこの一種です。
  • 最適化手法
     事象を目的関数として数値的に表現し,これを最小化あるいは最大化するための変数を見つける手法。線形計画法では,重回帰式と同じ形の関係式を目的変数として使用しますが,一般には不等式になります。
     ただ,目的関数が複雑になると,最適条件を見出すための計算が指数関数的に伸びるので,近似的な手法(遺伝的アルゴリズムやニューラルネットワークなどもその一種)や,目的関数の一部を犠牲にする方法(パレート最適解)など,様々な便法があり,これらの便法が学生の敵前逃亡を誘う最大の原因になっています(T_T)。

【参考】


人的資源管理

 人的資源管理では,組織の構築やインセンティブなどについて扱います。我々技術系のコンサルにはなかなか委託してもらえない分野ですし,水道事業の場合はあまり汲々と取り組んでいるようにはみえない。第一,労働組合のないところで育ったんで...悩ましい分野です...まあ愚痴ってもしかたない,おべんきょおべんきょ。

 キーワード:労務=人の行動と組織構造,労働関係法と労働管理,人的資源計画,人的資源開発

1)人の構造と組織

  • 人の行動モデル
     人の行動をそのまま規定することは不可能なので,典型的な行動をもってこれを整理する考え方。経済人(利己),情緒人(感情),管理人(秩序),複雑人(複合)などのモデルがあります。また,インセンティブの種類について,物質的(報酬),評価的,人的(魅力),理念的(思想),自己表現的(自満),というふうに分類されているようです。
  • 組織形態
     分業,部門,権限,調整,明文化,の5つを決定することで組織の形態を決めることができます。
組織の形態 職能別
 研究,開発,営業,生産...
事業部制
 給水,浄水,配水,料金
マトリックス
 双方を有機的に結合
  • リーダーシップ
     リーダーシップを構成する概念は,「任務の遂行」を中心として,構築維持遂行代表渉外,の5つの概念で代表されます。

2)労働関係法と労働管理

  • 労働関係法
     憲法27条に労働権28条に団結権が規定されていて,前者は労働基準法(週40時間制等),後者は労働組合法や労働関係調整法(団結,団交,団行)が中心的な役割を果たしているようです。
  • 賃金管理
     「総額管理」でコストの総額を,「個別賃金管理」で手当てなど賃金の体系を規定します。賃金は基本給,賞与,手当,所定外給与で構成されます。

3)人的資源計画

  • 職務分析と職務設計
     職務分析とはある特定の職務について,その範囲,必要能力負荷を特定する行為で,これを受けて具体的な組織の設計を行うことを職務設計とします。
  • 雇用管理
     採用や配置,昇進などにかかわる管理過程。条件の明確化,適正な配置,公正な処遇が必要条件とのことです。
  • 人間関係管理
     作業能率を上げるための条件面での対応よりも,非公式組織(企業風土)の影響の方が大きいという結果がホーソン実験により明らかにされています。意志疎通を円滑にして悩みの相談を受けるなどして人間関係を改善することが重要だとか。

4)人的資源開発 (Human Resource Development)

 組織の構成員の教育訓練のこと。理念や目標,対象者,方法を明らかにし,実施後のチェックが重要です。QC活動もOJTの一種として大きな効果を生み出すものとされています。

東京都水道局 研修・開発センター

 東京都水道局さんが玉川浄水場の敷地内に設置された研修センター。内部には実地研修用の管路や盤などが置いてあって,いろいろなスキルの基礎を学ぶことができます。また,研究成果なども陳列されています。見学に行ったとき(06年ごろ)に撮影。

【参考】
うーん,ホントに噛み砕いただけだなぁ...


情報管理

 キーワード:情報=通常業務における情報管理,緊急時の情報管理,ネットワーク社会における情報管理,情報ネットワーク,情報セキュリティ

 情報管理の重要な注意点は,通常時と緊急時でその対応が大きく異なることです。インターネットなど最近の情報技術に関する話は大体分かるのでかなり省略しました。

1)通常時

 意思決定レベルに応じて必要な情報が手に入ることが重要。従来型のPRはもとより,積極的な情報開示によって信頼を醸成しつつ,競争に関する情報には十分なセキュリティが必要です。

  • 知的財産権
     著作権(著作物),特許権(産業),実用新案権(アイデア),意匠権(デザイン),商標権(TM)の5種類が法的に保護される権利です。これらの概念は国際的に様々な解釈や風習があって日々進化しており,ソフトウェア特許やビジネスモデル特許が認知されはじめたほか,知的財産権をめぐる訴訟も日々多数行われています・
  • 【特許庁】
     特許庁に必要な情報があるでしょう。ネタ本にはもっと細かいアドレスものってましたが(^o^)
  • ナレッジマネジメント
     知(ノウハウやその関連の情報)を社内だけではなく社外からも収集,これを有効に共有化して,組織の創造性を増そうとする取組み。個人に所属する「暗黙知」を,文書化などを通じて「形式知」に変換することがその取組みの中心です。大切なのは,開発,設計,営業など,異なる部門の間でノウハウが共有できるようにすることです。
     ナレッジマネジメントに統括責任者を置く場合もあり,必要に応じてノウハウを持った人間のスカウトや企業部門の買収なども行います。特別な知識を有する人物のスクリーニングが成果の鍵を握るようです。

2)緊急時

 緊急時には平時と異なる情報管理が必要になります。特に水道分野では,早期発見情報収集情勢分析情報伝達広報告知の手順をたどりますが,最低でも,情報収集体制と項目情報の伝達ルートを確保しておき,短時間で情勢分析ができるだけシミュレーションによる訓練を行っておくべきでしょう。

  • 地震対策
     緊急時対応の事例として参考になります...ってこればっかり出してもねぇ...
  • 報道
     緊急時の報道について。PRの一種としてまとめました。

3)ネットワーク

  • 法と倫理
     インターネットを中心とする情報化社会では,これまでとは全く異なった,自由度の高い情報収集と発信ができるようになりました。ただ,自由度が高いがゆえに,従来当然のごとく守られていたルールをやすやすと踏み越えることができるようになっています。著作権侵害通信の秘密違反名誉や信用の毀損不正アクセスなどは法的に罰則規定があります。

4)情報防御

  • 情報リスク
     情報リスクへの対応を確固たるものとするためには,セキュリティポリシーと呼ばれる対策要綱が必要です。リーダーの関与自主作成実行が容易,という3点に考慮されていなければなりません。具体的な脅威として,情報の流出,情報の消滅,システムの破壊,風説の流布などがあります。

【参考】


安全管理

 キーワード:事故防止=リスク管理,労働安全性管理,未然防止活動・技術,危機管理,システム安全工学手法

 事故防止の観点から認識されることが多かった分野ですが,近年,危機管理の重要性を嫌が応にも認識させる事件が多発しており,組織全体を揺るがすようなケースもかなり多くなってきました。薬害エイズ,東海村,雪印,狂牛病...枚挙に暇がありません。特に日本ではこれまで軽視される傾向があったのですが,技術屋はそれではいけませんね。

1)リスク管理と危機管理

 リスク管理は危機が起こらないようにする活動,危機管理は危機に際してその拡大を防ぐ対応,という形で分けて考えられますが,明確に分離すべき内容ではないようです。

  • リスク管理
     水道におけるリスク管理について整理したページ。今回概念を追加。

2)労働安全衛生管理

 労働安全法,OHSAS18000シリーズなどで法的,国際的に規定される概念。労働災害による直接・間接の被害はきわめて大きく,その撲滅のために,事業者責務の明確化,計画策定,体制確立,危険防止措置,機械等の規制,資格条件などが定められています。

  • 人災
     水道施設における事故についてとりあつかいました。

3)未然防止活動

 定期点検活動(想定どおりに運営されているか,非定常のトラブルのタネがないか,の2点)QCサークルなどの小集団活動,ヒヤリハット運動,フェールセーフ(構造安全,人間の安全行動,安全側制御),など,具体的な取組みを分かりやすく説明する呼称がついています。

 また,システムの信頼性を上げるためのエレメントとしては,Fault Avoidance (故障しない,しにくい), Fault Tolerance(バックアップがある), Fail soft(部分稼動でもある程度の機能を確保する), Fool proof(間違った操作ができない),などの概念が紹介されています。水道を含む土木技術では,一般にFault Tolerance や Fail soft が中心になっているようです。

 機械と人間が協調して働く場合,隔離,停止を基本とし,これらを立証することでインターロック(安全確認システム)を構築します。この場合,危険検出ではなく,安全確認型のシステムとすることが必要です。

4)危機管理 Crisis Management

 組織内問題,組織外問題,産業災害,自然災害,犯罪,その他の不測事態(Contingency)に対して,Safety & Security によって安全を担保することを危機管理といいます。事態が進展してから対応策を検討する時間的猶予はありませんので,平時から進行分担復旧の3つのシナリオをマニュアルとして作成しておく必要があります。

 危機管理活動には,準備(最悪の事態を準備),峻別(危険とチャンスの認識),遂行(危機の分析,対応策の選定をリーダーシップのもと遂行),環境防御(ダメージの最小化),解決復帰再発防止,の8つの基本要素があるとされています。

 危機管理マニュアルでは,対象や目標を明確化したうえで,組織別,災害別,平時/緊急別に整理します。また,更新や訓練について言及することが必要です。

 また,マニュアルには,実行担当,判断基準,入手情報,実施方法,活動項目,使用機材,の6つをかならず記載します。付帯して,マニュアルに付属のチェックリストを添付し,緊急時に必要な情報を見やすいようにします。

5)システム安全工学手法

 リスク管理のときに出てきたイベントツリー,フォールトツリーのほか,チェックリスト,FMEA,HAZOPなどの手法が提案されています。

  • FMEA
     システムを構成するすべての部品における故障状態をリストアップし,それぞれの故障がシステム全体に与える影響を評価する手法。致命的な危険がどのような原因でどこに発生するかを予測することができる。
  • HAZOP
     あるシステムを管理するうえでのパラメータのおのおのについて,適正値からずれた場合を想定し,その原因と結果,防止のための方法をシミュレートする方法。

【参考】


社会環境管理

 キーワード:環境=環境評価,環境アセスメント,ライフサイクルアセスメント,産業廃棄物管理,環境アカウンタビリティ,環境経済評価手法

 環境問題は,環境汚染,廃棄物,生態系破壊,の3つに分けることができる,と言われています。水道技術は環境とのかかわりを取り扱う比重が比較的大きく,イメージがつかみやすい分野ですね。

1)社会的な環境評価

  • 政治制度による方法
     環境基準やその他の各種規制による方法のほか,受忍限度を争った様々な判例があります。ただ,環境権の主張はこれまで認められていないとのこと。
  • 市場価値化による方法
     環境負荷量を明示する方法(消費者インセンティブ),代替貨幣価値評価による方法(外部経済効果の評価),税金や課徴金による内部コスト化,などが提案されています。
  • グリーン調達とエコマーク
     2001年のグリーン購入法において,環境物品に関する情報の融通が積極的に図られることになりました。日本環境協会のエコマークのような認証型ほか,宣言型開示型などがあります。
  • 環境アセスメント
     大規模な事業による環境への影響を事前に予測評価すること。環境影響評価法にその手続きが定められています。代替案の概念が最大の特徴で,中止を含めた複数の案を評価できるように作成することが求められます。
  • 環境基本計画【環境省】
     環境省所掌,環境基本計画について。

2)企業(事業体)からみた環境評価

 企業財務と同じく環境対応についても説明責任を果たすべきである,という「環境アカウンタビリティ」の考え方を基本理念に,環境への対応を計画・行動を評価するシステムが提案されるようになってきました。

3)産業廃棄物管理

 基本的な方針については「環境基本法」「廃棄物処理法(廃掃法)」にまとめられていますが,再生資源利用促進法,容器包装リサイクル法,家電リサイクル法,大気汚染防止法など,関連法規も多数あります。国際取引についてはバーゼル条約,ロンドン条約などで規制を網がかけられます。

 これらの考え方の根本には,「汚染者負担の原則(Polluter Pays Principle)」があり,これを実現するために,排出者に伝票が帰ってくることを特徴とするマニュフェスト制度が採用されています。

 廃棄物には一般廃棄物と産業廃棄物の区分がありますが,これらのうちでも特に被害を生ずる恐れがあるものを特別管理一般廃棄物(PCB,病原性,ばいじん),特別管理産業廃棄物として厳重に管理するよう規定されています。

 汚泥,し尿,がれきなどが産業廃棄物の8割を占めるそうですが,水道では汚泥処理処分が非常に大きなテーマでしょう。こちらをご参考ください。

  • 汚泥処分
     汚泥の種類と処分について。法適用範囲についても言及。

 関連して,すべての化学物質について,生産,保管,消費などすべての情報を把握するための制度,いわゆるPRTRに関係した動きもこれを制度からバックアップしているといえるでしょう。



目次

経済性管理
 リソース(4M)に対して出力(PQCDSM)を最大にするための営み。 人的資源管理
 組織の構築に関する論や労務管理など。私の苦手分野。
情報管理
 このページを見れる人ならあまり改めて勉強することもなかとでしょ?
安全管理
 危機管理や安全性の確保のための管理技術です。
社会環境管理
 環境対策です。比較的なじみやすいですかね。

備考・出典


更新履歴

  • 170613 リンク切れ削除
  • 120626 新様式で作成
  • 111019 公共工事のコスト縮減、コスト削減行動計画、リンク先修正
  • 111019 北九州市公共工事コスト縮減に関する第二次行動計画について→第三次行動計画


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