水道技術経営情報
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水道水質基準(平成15年度版) Standard

水道水質基準項目とその基準値等,各種の基準値に関する情報です。


水道水質基準(現行版)

(1)水質基準項目

 水質基準項目は以下のようになっています(平成15年に大きく体系が改訂されました)。水質基準項目は,水道法第4条「水質基準に関する省令」で規定されるもので,水道水が適合することを求められる基準です。

 このページをはじめたころは解説もあんまり充実したのはなかったのですが,現在では厚労省のHPで最新情報が掲載されているのでそちらをごらんください。

 平成26年9月現在、水質基準項目は51項目です。これは、塩素酸が平成19年,亜硝酸態窒素が平成26年に追加され,1,1-ジクロロエチレンが平成20年に削除された結果,1項目増えたためです。

 なお,下表は,平成15年度の改訂で追加,あるいは同等の項目から変更された項目については黄緑色に,その後廃止された項目は赤色,変更された項目は肌色,追加された項目は紫色,に色付けしてありますが,まちがってるかもしれませんので,確認は各自でお願いします。また、表示の都合上,元表と全く一緒ではないのでご注意ください。

  定期検査項目 採水 検査頻度 頻度 基準値
a   1日1回以上    
b 濁り   1日1回以上    
c 消毒の残留効果   1日1回以上    
1 一般細菌   概ね月1回以上   1mlの検水で形成される集落数が100以下であること。
2 大腸菌   概ね月1回以上   検出されないこと。
3 カドミウム及びその化合物 注1 概ね3月に1回以上 注2
注5
カドミウムの量に関して,0.003mg/L以下であること。注10
4 水銀及びその化合物 注1 概ね3月に1回以上 注2
注5
水銀の量に関して,0.0005mg/L以下であること。
5 セレン及びその化合物 注1 概ね3月に1回以上 注2
注5
セレンの量に関して,0.01mg/L以下であること。
6 鉛及びその化合物   概ね3月に1回以上 注2
注5
鉛の量に関して,0.01mg/L以下であること。
7 ヒ素及びその化合物 注1 概ね3月に1回以上 注2
注5
ヒ素の量に関して,0.01mg/L以下であること。
8 六価クロム化合物   概ね3月に1回以上 注2
注5
六価クロムの量に関して,0.02mg/L以下であること。注15
9 亜硝酸態窒素 注1 概ね3月に1回以上 注2 0.04mg/L以下であること。注12
10 シアンイオン及び塩化シアン   概ね3月に1回以上   シアンの量に関して,0.01mg/L以下であること。
11 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 注1 概ね3月に1回以上 注2 10mg/L以下であること。
12 フッ素及びその化合物 注1 概ね3月に1回以上 注2
注5
フッ素の量に関して,0.8mg/L以下であること。
13 ホウ素及びその化合物 注1 概ね3月に1回以上 注2
注5
ホウ素の量に関して,1.0mg/L以下であること。
14 四塩化炭素 注1 概ね3月に1回以上 注2 0.002mg/L以下であること。
15 1,4-ジオキサン 注1 概ね3月に1回以上 注2
注5
0.05mg/L以下であること。
1,1-ジクロロエチレン 注1 概ね3月に1回以上 注2
注5
0.02mg/L以下であること。
廃止されました。注7
16 シス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス-1,2-ジクロロエチレン 注1 概ね3月に1回以上 注2
注5
0.04mg/L以下であること。注8
17 ジクロロメタン 注1 概ね3月に1回以上 注2
注5
0.02mg/L以下であること。
18 テトラクロロエチレン 注1 概ね3月に1回以上 注2
注5
0.01mg/L以下であること。
19 トリクロロエチレン 注1 概ね3月に1回以上 注2
注5
0.01mg/L以下であること。注11
20 ベンゼン 注1 概ね3月に1回以上 注2
注5
0.01mg/L以下であること。
21 塩素酸 0.6mg/L以下であること。注6
22 クロロ酢酸   概ね3月に1回以上   0.02mg/L以下であること。
23 クロロホルム   概ね3月に1回以上   0.06mg/L以下であること。
24 ジクロロ酢酸   概ね3月に1回以上   0.03mg/L以下であること。注13
25 ジブロモクロロメタン   概ね3月に1回以上   0.1mg/L以下であること。
26 臭素酸   概ね3月に1回以上 注5 0.01mg/L以下であること。
27 総トリハロメタン   概ね3月に1回以上   0.1mg/L以下であること。
28 トリクロロ酢酸   概ね3月に1回以上   0.03mg/L以下であること。注14
29 ブロモジクロロメタン   概ね3月に1回以上   0.03mg/L以下であること。
30 ブロモホルム   概ね3月に1回以上   0.09mg/L以下であること。
31 ホルムアルデヒド   概ね3月に1回以上   0.08mg/L以下であること。
32 亜鉛及びその化合物   概ね3月に1回以上 注2
注5
亜鉛の量に関して,1.0mg/L以下であること。
33 アルミニウム及びその化合物   概ね3月に1回以上 注2
注5
アルミニウムの量に関して,0.2mg/L以下であること。
34 鉄及びその化合物   概ね3月に1回以上 注2
注5
鉄の量に関して,0.3mg/L以下であること。
35 銅及びその化合物   概ね3月に1回以上 注2
注5
銅の量に関して,1.0mg/L以下であること。
36 ナトリウム及びその化合物 注1 概ね3月に1回以上 注2
注5
ナトリウムの量に関して,200mg/L以下であること。
37 マンガン及びその化合物   概ね3月に1回以上 注2
注5
マンガンの量に関して,0.05mg/L以下であること。
38 塩化物イオン   概ね月1回以上 注3 200mg/L以下であること。
39 カルシウム,マグネシウム等(硬度) 注1 概ね3月に1回以上 注2
注5
300mg/L以下であること。
40 蒸発残留物 注1 概ね3月に1回以上 注2
注5
500mg/L以下であること。
41 陰イオン界面活性剤 注1 概ね3月に1回以上 注2
注5
0.2mg/L以下であること。
42 ジェオスミン   注4 注5 0.00001mg/L以下であること。
43 2-メチルイソボルネオール   注4 注5 0.00001mg/L以下であること。
44 非イオン界面活性剤 注1 概ね3月に1回以上 注2
注5
0.02mg/L以下であること。
45 フェノール類 注1 概ね3月に1回以上 注2
注5
フェノールの量に換算して,0.005mg/L以下であること。
46 有機物(全有機炭素の量)   概ね月1回以上 注3 3mg/L以下であること。注9
47 pH値   概ね月1回以上 注3 5.8以上8.6以下であること。
48   概ね月1回以上 注3 異常でないこと。
49 臭気   概ね月1回以上 注3 異常でないこと。
50 色度   概ね月1回以上 注3 5度以下であること。
51 濁度   概ね月1回以上 注3 2度以下であること。
  • 注1)送配水施設において濃度上昇しないことが確認される場合は,給水栓のほか,浄水施設出口,送水施設又は配水施設のいずれかの場所で検査可能。
  • 注2)一定の要件(原水水質の変動,過去3年間基準値の1/5以下又は1/10以下)を満たす場合は,概ね年1回以上又は概ね3年に1回以上まで,検査頻度を減らすことが可能。
  • 注3)連続的に計測及び記録がなされている場合は,概ね3月に1回以上まで,検査頻度を減らすことが可能。
  • 注4)藻類発生時期に月1回以上
  • 注5)一定の要件(過去の検査結果が基準値の1/2未満、原水並びに水源及びその周辺の状況、薬品等及び資機材等の使用状況)を満たし、検査を行う必要がないことが認められる場合は、検査を省略することが可能。
  • 注6)平成19年度追加,平成20年4月1日施行。
  • 注7)平成21年4月1日の改正により水質基準を廃止,水質管理目標設定項目に移行。
  • 注8)平成21年4月1日の改正により,「シス-1,2-ジクロロエチレン」から変更されました。基準値は変更ありません。
  • 注9)平成21年4月1日の改正により,5mg/Lから3mg/Lに変更されました。
  • 注10) 平成22年4月1日の改正により,0.01mg/Lから0.003mg/Lに変更されました。
  • 注11) 平成23年4月1日の改正により,0.03mg/Lから0.01mg/Lに変更されました。
  • 注12)平成26年度追加,平成26年4月1日施行。
  • 注13) 平成27年4月1日の改正により,0.04mg/Lから0.03mg/Lに変更されました。
  • 注14) 平成27年4月1日の改正により,0.2mg/Lから0.03mg/Lに変更されました。
  • 注15) 令和2年4月1日の改正により,0.05mg/Lから0.02mg/Lに変更されました。

(2)水質管理目標値設定項目

 水質管理目標設定項目とは,評価値が暫定であったり,検出される頻度が低いものですが,水質管理上は注意喚起すべき,とされる項目です。

項目 暫定 注1 目標値
1 アンチモン及びその化合物 注10 アンチモンの量に関して、0.02mg/L以下
2 ウラン及びその化合物 暫定 ウランの量に関して、0.002mg/L以下
3 ニッケル及びその化合物 注10 ニッケルの量に関して、0.02mg/L
4 1,2-ジクロロエタン 0.004mg/L以下
5 トルエン 注8 0.4mg/L以下
6 フタル酸ジ(2-エチルヘキシル) 注12 0.08mg/L以下
7 亜塩素酸 0.6mg/L以下
8 二酸化塩素 0.6mg/L以下
9 ジクロロアセトニトリル 注5 暫定 0.01mg/L以下
10 農薬類 注3 注6 注7 注8 注11 120物質の農薬について、検出値と目標値の比の和として、1以下
11 抱水クロラール 注5 暫定 0.02mg/L以下
12 残留塩素 1mg/L以下
13 カルシウム、マグネシウム等(硬度) 10mg/L以上100mg/L以下
14 マンガン及びその化合物 マンガンの量に関して、0.01mg/L以下
15 遊離炭酸 20mg/L以下
16 1,1,1-トリクロロエタン 0.3mg/L以下
17 メチル-t-ブチルエーテル 0.02mg/L以下
18 有機物等(過マンガン酸カリウム消費量) 3mg/L以下
19 臭気強度(TON) 3以下
20 蒸発残留物 30mg/L以上200mg/L以下
21 濁度 1度以下
22 pH値 7.5程度
23 腐食性(ランゲリア指数) −1程度以上とし、極力0に近づける
24 従属栄養細菌 注2 暫定 1mlの検水で形成される集落数が2,000以下
25 1,1-ジクロロエチレン 注4 0.1mg/L以下
26 アルミニウム及びその化合物 注4 アルミニウムの量に関して0.1mg/L以下
27 ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA) 注17  暫定 ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)の量の和として0.00005mg/L以下 
  • 注1)暫定値。
  • 注2)平成20年度から塩素酸が水質基準項目に昇格し,従属栄養細菌が追加されました。
  • 注3)平成20年度からフィプロニルが追加され,農薬リストは102項目に増えました。
  • 注4)平成21年度から,トランス-1,2-ジクロロエチレンが水質基準項目に昇格し,アルミニウム及びその化合物が追加され, 1,1-ジクロロエチレンが水質基準項目から変更されました。
  • 注5)平成21年度から,ジクロロアセトニトリル及び抱水クロラールの目標値が,それぞれ0.04mg/Lから0.01mg/L、0.03mg/Lから0.02mg/Lに変更されました。
  • 注6)平成21年度から,農薬類の対象リスト中2項目の目標値の見直しがされました。
  • 注7)平成22年度から,1,1,2-トリクロロエタンが削除され、農薬類の対象リスト中6項目の目標値の見直しがされました。
  • 注8)平成23年度から,トルエンの目標値が0.2mg/Lから0.4mg/Lに変更され,農薬類の対象リスト中4項目の目標値の見直しがされました。
  • 注9)平成25年度から,農薬類の分類の見直しがされ、102物質から120物質に対象項目が増えました。
  • 注10)平成26年度から,アンチモン及びその化合物及びニッケル及びその化合物の目標値が、それぞれ0.015mg/Lから0.02mg/L、0.01mg/Lから0.02mg/Lに変更されるとともに、ニッケル及びその化合物が暫定ではなくなりました。
  • 注11)平成26年度から,農薬類の対象リスト中12項目の目標値が見直されました。
  • 注12)平成27年度から,フタル酸ジ( 2- エチルヘキシル)の目標値が0.1mg/Lから0.08mg/Lに変更され,農薬類の対象リスト中2項目の目標値の見直しがされました。
  • 注13)平成28年度から,農薬類の対象リスト中6項目の目標値の見直しがされました。
  • 注14)平成29年度から,農薬類の対象リスト中2項目の目標値の見直し,3項目の目標値の統合と見直し,1項目が追加されました。
  • 注15)平成30年度から,農薬類の対象リスト中3項目の目標値の見直し,2項目の削除,1項目の算出方法の変更がされました。
  • 注16)平成31年度から,農薬類の対象リスト中3項目の目標値の見直し,4項目の削除,1項目の算出方法の変更がされました。
  • 注17)令和2年度から,ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)が追加され,農薬類の対象リスト中3項目の目標値の見直しがされました。

【備考】

 表は、厚生労働省HPに掲載されている情報を引用、一部追記しました。


(3)要検討項目

 厚労省のサイトには、毒性評価が定まらない、浄水中の存在量が不明等の理由から、水質として管理を行うに至らない物質と書いてあります。

 もう少し噛み砕いて言うと、通常水道水に含まれて毒になることはまずないが、絶対とまで言い切っていいかどうかはもう少し見極めたい、そんな物質のリストです。 いわば、研究継続項目といえるでしょう。

項目 暫定 注1 目標値
1 -
2 バリウム 0.7mg/L以下
3 ビスマス -
4 モリブデン 0.07mg/L以下
5 アクリルアミド 0.0005mg/L以下
6 アクリル酸 -
7 17-β-エストラジオール 暫定 0.00008mg/L以下
8 エチニルーエストラジオール 暫定 0.00002mg/L以下
9 エチレンジアミン四酢酸(EDTA) 0.5mg/L以下
10 エピクロロヒドリン 暫定 0.0004mg/L以下
11 塩化ビニル 0.002mg/L以下
12 酢酸ビニル -
13 2,4-ジアミノトルエン -
14 2,6-ジアミノトルエン -
15 N,N-ジメチルアニリン -
16 スチレン 0.02mg/L以下
17 ダイオキシン類 暫定 1pgTEQ/L以下
18 トリエチレンテトラミン -
19 ノニルフェノール 暫定 0.3mg/L以下
20 ビスフェノールA 暫定 0.1mg/L以下
21 ヒドラジン -
22 1,2-ブタジエン -
23 1,3-ブタジエン -
24 フタル酸ジ(n-ブチル) 暫定 0.2mg/L以下
25 フタル酸ブチルベンジル 暫定 0.5mg/L以下
26 ミクロキスチン−LR 暫定 0.0008mg/L以下
27 有機すず化合物 暫定 0.0006(TBTO)mg/L以下
28 ブロモクロロ酢酸 -
29 ブロモジクロロ酢酸 -
30 ジブロモクロロ酢酸 -
31 ブロモ酢酸 -
32 ジブロモ酢酸 -
33 トリブロモ酢酸 -
34 トリクロロアセトニトリル -
35 ブロモクロロアセトニトリル -
36 ジブロモアセトニトリル 0.06mg/L以下
37 アセトアルデヒド -
38 MX 0.001mg/L以下
39 キシレン 0.4mg/L以下
40 過塩素酸 0.025mg/L以下
41 パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS) -
42 パーフルオロオクタン酸(PFOA) -
43 N-ニトロソジメチルアミン(NDMA) 0.0001mg/L以下
44 アニリン 0.02mg/L以下
45 キノリン 0.0001mg/L以下
46 1,2,3-トリクロロベンゼン 0.02mg/L以下
47 ニトリロ三酢酸(NTA) 0.2mg/L以下
  • 注1)暫定値。

【備考】

 表は、厚生労働省HPに掲載されている情報を引用、一部追記しました。


(4)水質基準をめぐる動向

 水質基準値の設定における審議過程などの資料は,厚生労働省のHPに,審議会資料として掲載されています。最新の動向はこういうところからおっかけるとよいでしょう。

 その他,水質基準について解説してくださっているサイトを紹介。ここよりはずっとわかりやすいです。



参照


目次


備考・出典

 制度的なところは実はこれで網羅されたわけではありません。除々に充実させていく予定です。


更新履歴

  • 201225 基準値等を最新に更新
  • 140926 基準値等を最新に更新
  • 120626 新様式で作成


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