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水質基準とは Water Standard

 水道水質基準項目とその基準値等,各種の基準値に関する情報。水質基準の考え方や経緯などの概要をここで整理します。


水道水質基準の概要

(1)水道水質基準の定義

 規制手法にはゴール,クライテリア,ガイドライン,スタンダード,の4つの段階があります。

  • ゴール=目標値。技術的に対応可能か不可能かは問題にされず,理想的な最終目標として設定される。
  • クライテリア=尺度。科学的,技術的,な手法により,影響を評価して設定した値。行政的配慮は加味されないが,対応技術の水準は考慮される。
  • ガイドライン=クライテリアを吟味し,一定の見解をもとにとりまとめたもの。法的遵守義務を持つには至っていない。スタンダードを設定する場合,ガイドラインをベースに個々の事情を勘案して法制化される。
  • スタンダード=クライテリアを元に,社会的影響や達成の可能性を考慮して設けられる規制値。水質基準などはこれに相当し,その遵守が法的に規定される点が特徴。

 水道水質基準はこのうち「スタンダード」に相当します。

(2)外国の水質基準

 とりあえず手持ちのサイトのアドレスを掲載しました。日本語の資料で良いのがあったら探してみたいとは思ってますが...

(1)WHO飲料水質ガイドライン

 安全性に関する飲料水の基準は,基本的に,「人が,70年間,毎日,2Lの水を飲みつづけた時,100万人に一人が致死するレベル」を,過去の知見や動物実験などから推計して設定されています。ただし,基準の種類によっては,10万人に一人がガンを発する,などとなっているものもあるようです。(この辺は間違ってるかもしれません。要確認。)

 (財)水道技術研究センターからのホットニュースによりますと,2004年9月21日に「第3版飲料水水質ガイドライン」の最終案が提示されたそうです。平成15年度版の水道水質基準は,HACCP等,この案の考え方を取り入れたものとのことです。

 あまり詳しくは知りませんが,日本第1次のガイドラインができたのはつい十数年前ということのようです。それ以前から水道事業が発達している国にとっては,独自の道を歩むか,WHOとのすり合わせを行うか,選択を迫られている,ってことなんでしょうか。

  • 1958年 WHO 飲料水水質基準を策定。
  • 1984年 WHO 飲料水・水質ガイドラインに改組,各国の国内事情を反映できるように。
  • 1993年 WHO ガイドライン第2版 これを受けて水道法の水質基準改正
  • 2003年 WHO ガイドライン第3版 これを受けて鉛管の更新に公的バックアップ
  • 2011年 WHO ガイドライン第4版 これ以後逐次見直す方式に変更。

(2)米国の水質基準について

 米国の水質基準の考え方は,ゴールやクライテリアレベルのものを国レベル(EPAの勧告)でものすごいたくさんの項目について言及し規定したうえで,個別のスタンダードは州や水道の規模によって適切なものを議論して決める,という方法です。疫学的データを収集するために,ボランティアによる人体実験をやることもあるそうです。

 このあたり,日本の水質基準のように,スタンダードを国が中心となって決め,規模や水道のレベルを問わずすべてに適用する考え方とは根本的に違います。

 正直いって,アメリカの水質基準について一言で説明するのは,私ではちょっと無理です(英語の問題が大きいですが(_ _)ゞ)。州ごとに別々の基準を設定したり,水道の規模によって適用範囲が変わったり,指定の浄水方法を導入した場合に水質のチェックを免除したり,といろいろです。また,ヒ素のクライテリアの設定では,EPAが決めた基準が厳しすぎるとして水道界やその他の団体が争って提訴する(リンク切れ)など,およそ日本では想起しにくいようなことも頻繁に発生しています。

(3)EU基準

 EUは1998年に「人の消費を目的とした水の質に関する1998年11月3日付け理事会指令 98/83/EC(Council Directive 98/83/EC of 3 November 1998 on the quality of water intended for human consumption)」、通称「飲料水指令(Drinking Water Directive)」を出しました。

 飲料水指令はスタンダードを定め、加盟国はその基準を取り入れるほか、国によっては独自により厳しい基準を定めています。

 飲料水のスタンダードがあることは、必ずしも水道水が飲めるということを意味するわけではありませんが、2018年2月1日に採択された飲料水指令の改正は、「蛇口の水への信頼性を高め、飲料水を使用しやすくするとともに使用を促進することに伴い、ペットボトルの数の削減に役立つ。 」という目的があるそうです。


参照


目次

水道水質基準の概要


備考・出典


更新履歴

  • 201225 WHOガイドライン第4版記述追加
  • 191209 EU記述追加
  • 120625 新様式で作成

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